© Jaime Rojo WWF-US

人の健康の基礎としての環境保全


先日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する、オンライン・セミナーが開かれました。

主催は、WWF、生物多様性条約事務局、そしてWHO(世界保健機関)です。

テーマは、自然破壊と生物多様性の損失が、感染症にどう関係し、人の健康にも影響を及ぼすのか。どうすれば次のパンデミックを防ぐことができるのか、についてでした。

また、FAO(国連食糧農業機関)やWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)の関係者からも発言があり、参加者は400名以上にのぼりました。

©Leif Jørgensen CC BY-SA

環境保全団体であるWWFは、ここであらためて森林破壊などの広がりが、新たな感染症発症の要因となっていること、また管理されていない野生生物取引が、その拡大につながっていることを説明しましたが、この数カ月間に、WHOのような他分野の国際機関も、あらためて同様の指摘を繰り返すようになっています。

これからの人の健全な暮らしには、生物多様性保全の主流化や、環境破壊を伴わない持続可能な食糧生産の実現が欠かせない、という考え方のもと、さまざまな国際機関が今、連携の機運を高めようとしているのです。

このような国境や分野を超えた協力や協調を軽視し、自国第一主義に走る国も確かにあります。しかし、それでこの地球規模の問題から逃れることはできません。

新型コロナウイルスの問題は、人類が真に一つになり、環境破壊や感染症、人の健康や権利の問題を解決できるのか、その知恵を問うているかのようです。

日本時間で午前0時から2時間にわたり続いた今回のセミナー。大変でしたが、得るものの多い機会となりました。

これからも保健や農業、経済など、多様な専門分野にかかわる機関と協力しながら、私たちもこの試練に挑んでゆきたいと思います。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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