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人にも環境にもやさしいカフェを!


ここは愛知県稲沢市郊外の、農家カフェの建設予定地。

建物はまだ工事途中ですが、一歩踏み込むと清々しいばかりの木の香りに包まれます。

さもありなん、ここで使われている柱材は、岐阜県東白川村で生産された東濃檜(とうのうひのき)。

しかも、持続可能な林産物の国際認証である「FSC®認証」も取得した自然に配慮した木材で、壁面などもきちんと管理された山林のスギ材を利用しています。

建設中のカフェの内部を案内してくれた安田さん。認証を受けたヒノキ材にはFSCのマークも入っていました。断熱材にもグラスウールではなく、羊毛のウールを使用。建設現場にありがちな化学物質のにおいが、一切ありません。
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建設中のカフェの内部を案内してくれた安田さん。認証を受けたヒノキ材にはFSCのマークも入っていました。断熱材にもグラスウールではなく、羊毛のウールを使用。建設現場にありがちな化学物質のにおいが、一切ありません。

カフェのオーナーは、地元で養鶏場を営む株式会社「歩荷(ぼっか)」の安田さんご夫妻。

お店の予定地の隣で、「平飼い」のみでの養鶏を手掛けられています。

鶏へのストレスを考慮し、鶏舎の飼育密度は通常の3分の1!与える飼料はもちろん、土壌も菌による自然の循環を利用した管理を徹底されており、鼻をつく臭いも全くありません。

健康と美味しさを追求する「歩荷」さんのこだわりが、このように五感に訴えてくる!というのは、とても新鮮な体験でした。

「歩荷」の鶏たち。約3,600羽が飼われています。ニワトリ本来の習性さながらに、高い場所に設けられた止まり木にも飛び上がり、自由に歩き回っています。鶏舎の間には中庭があり、そこも鶏たちの野外スペースになっています。
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「歩荷」の鶏たち。約3,600羽が飼われています。ニワトリ本来の習性さながらに、高い場所に設けられた止まり木にも飛び上がり、自由に歩き回っています。鶏舎の間には中庭があり、そこも鶏たちの野外スペースになっています。

そんな卵を、もっとたくさんの人に届けたい、と安田さんがカフェの開店を決意されたのは2年前。

やるからには、「人だけでなく、環境にもよいものを!」と、木材にもこだわった店舗づくりを志向され、FSC認証材を積極的に使った建築を手掛ける愛知県一宮市の工務店「エコ建築考房」に設計・施工を依頼されました。

質にこだわりぬいたお仕事は、「エコ建築考房」の皆さんにも通じるところ。

ここまでの道のりは本当に大変だったそうですが、皆さんの不撓の努力とチャレンジによって、来年3月にいよいよ開店!とのことです。

SDGsや「ネイチャー・ポジティブ」にも通じる取り組みと素材、何よりその想いを満載したカフェの誕生を、心待ちにしたいと思います。

岐阜県東白川村のFSC認証林。「歩荷」のカフェでもここで育った材を利用しています。東白川では厳しい管理により、森や川の生物多様性保全と、良質の材の生産を実現しています。WWFは森林保全の一環として、FSC認証による持続可能な木材の利用を促進しています。
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岐阜県東白川村のFSC認証林。「歩荷」のカフェでもここで育った材を利用しています。東白川では厳しい管理により、森や川の生物多様性保全と、良質の材の生産を実現しています。WWFは森林保全の一環として、FSC認証による持続可能な木材の利用を促進しています。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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