© Cayetano Espinosa / WWF-Chile

チリの海を守るために、私たちだからこそ出来ること


日本から見て地球の反対側に位置する、南米チリ。

あまり馴染みのない国という印象をお持ちの方も多いかもしれません。

ですが、日本で消費されるサーモンは、その多くがチリの海で養殖されたもの。

そしてサーモン養殖で使われる餌も、この海で獲られたアンチョベータなどの小魚が原料となっていて、日本とチリは食を通じた深いつながりがあります。

アンチョベータ(ペルーカタクチイワシ)の群れ。チリの海には、南極から北上するペルー海流(フンボルト海流)と深層から湧き上がる湧昇流によって、プランクトンやそれを主食とするアンチョベータなどの小魚が豊富にいます。
© Santiago Cabral/Silverback/Netflix

アンチョベータ(ペルーカタクチイワシ)の群れ。チリの海には、南極から北上するペルー海流(フンボルト海流)と深層から湧き上がる湧昇流によって、プランクトンやそれを主食とするアンチョベータなどの小魚が豊富にいます。

こうした小魚は、チリイルカなどの鯨類やマゼランペンギンなどの海鳥をはじめ、多くの海洋生物の重要な食物として、チリの豊かな海の生態系を支えています。

さらに、生態系が豊かであることで、沿岸地域に住む小規模零細の漁業者の方々が、その恵みである魚介類を獲って生計を立てていくことができます。

つまり、サーモン養殖にも利用される小魚を獲る漁業が「サステナブル」であることが、海の生きもの、そしてチリの人々の暮らしを守ることにつながるのです。

チリ沿岸地域の小規模漁業者の方々と漁船
© Meridith Kohut / WWF-US

チリ沿岸地域の小規模漁業者の方々と漁船

そのために、日本でチリ産サーモンを食べている私たちだからこそ出来ることがあります。

そのひとつが、サーモンを扱うスーパーなどの小売店に、餌の原料の小魚を含めたサステナビリティを求める声を届けることです。

消費者からの声は企業が動くきっかけになり、現地のサーモン養殖業や小魚の漁業がサステナブルな方法に変わっていくための取り組みが促され、海の生態系の豊かさを守ることにつながっていきます。

ASC認証ロゴを付けて販売されるチリ産の養殖サーモン。環境や人権に関する厳しい基準を満たすASC認証の取得をはじめ、サステナビリティを求める声を販売店舗に届けていくことが効果的です。
© WWF-Japan

ASC認証ロゴを付けて販売されるチリ産の養殖サーモン。環境や人権に関する厳しい基準を満たすASC認証の取得をはじめ、サステナビリティを求める声を販売店舗に届けていくことが効果的です。

私たちWWFジャパンも、企業への働きかけを進めていくとともに、チリでの海を守る活動への支援を継続していきます。

チリの海、そしてそこに住む生きものと沿岸地域の人々の暮らしをこれからもずっと守っていくために、皆さんの行動やご支援が大きな力になります。(海洋水産グループ 吉田)

海流の贈りもの

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自然保護室(海洋水産)
吉田 誠

チリ、インドネシア、中国のフィールドプロジェクトを担当。

田舎生まれの田舎育ち。こどもの頃から自然の中で遊ぶことが好きで、自然を守る仕事がしたいと思っていたところ、WWFと出逢いました。海の環境、海の生きものを守るため、頑張ります。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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