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野生生物のオンライン取引の課題とオンラインプラットフォームの責任

この記事のポイント
いつでもどこでも簡単にお買い物できる世の中。便利で快適なお買い物環境はオンラインプラットフォームによって支えられています。一方ネット上には、違法な野生生物の取引や持続可能ではない野生生物の取引が見受けられ、このような取引の種(しゅ)の存続へ与える影響が懸念されています。オンライン取引の台頭とともに広がりを見せる野生生物の取引を、今、再考する必要があります。 そこでWWF では、違法な野生生物取引及び持続可能ではない野生生物取引への対策が広がるように、EC企業に働きかけを行なっています。本記事では、その取り組みについてご紹介します。
目次

野生生物取引の抱えるリスク

皮や毛皮を使用した装飾品、牙や角を利用した調度品や装飾品、鳥の羽根を使用した茶道具や矢羽根、薬効のある植物を利用した医薬品、魚などの食品、希少な木材を利用した楽器、さらにはペットまで。

野生生物は暮らしの中で、さまざまな用途で利用されています。

このような形で、世界中で利用されている野生生物は実に約5万種。

野生生物の利用は、暮らしの中で欠かすことのできないものです。

しかし、その過剰な利用は、野生生物の個体数を減少させ、生態系のつながりを壊し、生物多様性を劣化させることにつながります。

実際、「野生生物の利用」は、野生生物を絶滅の危機に追い込む、二番目に大きな要因とされています。

世界では今、こうした原因によって、地球上の生物多様性が広く失われているのです。

IUCNレッドリストにおいて近絶滅種(CR)絶滅危惧種(EN)危急種(VU)に選定されている動植物種に対する脅威(単位:種数)(IUCNレッドリスト2024-1より)

生きている地球指数(1970~2018年)。生物多様性の劣化を示す指標である「LPI: Living Planet Index(生きている地球指数)」によれば、1970年から2018年にかけて、生物多様性は69%も失われたと試算されている。
出典:WWF/ZSL,2022³

それにもかかわらず、数値的にみると、野生生物の(合法的な)国際取引額は大幅に拡大する傾向にあることがわかります。

2005年から2019年の14年間で5倍以上にも増加したと算出されているのです。

生きている動物、製品、植物の取引量を比較した表。青が2005年、オレンジが2019年の取引量を表している。

生きている動物、製品、植物の取引量を比較した表。青が2005年、オレンジが2019年の取引量を表している。
引用: IPBES Workshop on Biodiversity and Pandemics (IPBES, 2020),p.24 Figure6による図表

とりわけ懸念が指摘されているのが 、絶滅の危機に直面している野生生物の取引です。

IUCN(国際自然保護連合)が公開している「レッドリスト」には、2024年7月現在、約4万5,000種以上の野生生物が、「絶滅のおそれの高い種(=絶滅危機種:CR, EN, VU)」として掲載されていて、その数は年々増加する傾向にあります。

そうした状況にあるにもかかわらず、こうした脆弱な絶滅危機種さえも活発に取引されている現状があります。

野生生物のうち取引の対象となっている割合を、絶滅危機の程度の毎に分類してまとめた図。絶滅危機種にあたるのは、CR,EN,VU。図のうち、取引対象となっている部分が赤色で示されている。 (引用:Brett R. Scheffers et al, Global wildlife trade across the tree of life (2019), Science366, Isuue 6461,p.71-76 Figure1による図表)

野生生物のオンライン取引の概況と課題

過剰な野生生物の取引が生物多様性にとってリスクである中で、特にオンラインでの野生生物取引が懸念されるようになりました。

総務省によれば、国内のインターネットユーザーは2013年時点で既に1億人を突破しており、オンラインショッピング市場規模は継続的に拡大している様子が見て取れます。

表:(上)BtoC-EC市場規模の経年推移(単位:億円)、(下)CtoC-EC推定市場規模
出典:令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書 (経済産業省)

野生生物の取引量や取り扱われる種類の拡大の背景には、インターネットが野生生物を含むモノの消費や取引を拡大させたことが指摘されています。

そのような中、膨大なオンライン取引を監視し、不適切な物品・コンテンツを防止・削減・削除することや、持続可能な利用を担保した取引を見極めることに課題が生じているのです。

違法な野生生物取引の実態

世界的に、輸送技術や通信技術の発達により、野生生物の密猟や違法取引が組織化され、大規模な摘発事例が目立つようになりました。

アフリカゾウの牙(象牙)やサイの角(犀角)など、アジアでの需要が高い野生生物・製品の摘発事例も後を絶ちません。

違法な野生生物の取引市場は年間3兆円を超えるとの試算もあり、その規模は年々増加しているといわれています。

かつてないほどに簡単にモノ、金銭や情報のやり取りが可能となったこともあって、従来の物理的な市場からオンラインへ移行していると考えられており、オンラインにおける野生生物の違法取引も深刻な課題と認識されています。

さらに、取引ルートは日々刻々と変化しており、ITの普及やSNSによる情報の拡散もあいまって、取引が複雑化し、規制が追いついていない状況です。

オンライン市場での取引は匿名性が高く、商品の実態が目に見えて、売り手・買い手の顔も見える実店舗と比較しても取り締まりが困難なため、問題のある取引の把握が難しくなっています。

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密猟・密輸されたおそれのある生物のオンライン販売が確認されている。WWFの野生生物取引監視部門であるTRAFFICによる調査(2018年)によれば、国内外で販売が確認された37種の南西諸島固有の両生類・爬虫類のうち、15種が捕獲・取引が禁止または制限されている種であったことが確認された。このことから、違法に捕獲・取引された個体であるか、それらを元に繁殖させた個体である可能性が示唆される。

野生生物の「持続可能ではない取引」による懸念

現在の日本の法律では、絶滅危機種全てが取引規制の対象にはなっておらず、そうした法的保護の対象になっていない種が、無規制にオンライン上で取引されている実態もあります。

世界の絶滅危機種については、IUCNが「レッドリスト」として公表しており、日本についても、環境省による国内版のレッドリストがあります。

また、各都道府県などの自治体でも、地域に生息する絶滅危機種をリストにまとめている例もあります。

これらはいずれも、絶滅危機種を明らかにしたものですが、法的な保護を約束するものではありません。

そのため、「合法的に」絶滅危機種が捕獲され、オンライン上でも出品・取引されるケースが散見されています。

こうした現状を改善し、絶滅危機種を保護するためには、レッドリストの情報を活用しながら、持続可能な取引を追求する必要があります。

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両生類の約40%は絶滅の危機に直面していると考えられているが、そのうち国際的な取引規制があるのはわずか2%にとどまる。また、絶滅の危機に瀕している爬虫類の75%は、国際的な法律で保護されていないと指摘されている。

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WWFの野生生物取引監視部門TRAFFICの調査によれば、市場で販売が確認された両生類の約1/4がIUCNのレッドリストにおいて絶滅危機種又は準絶滅危機種として指定された種であった(2021年1~3月調査)。

国際的にも絶滅危機種のオンライン取引増加が指摘されており、ミャンマーでは、IUCNレッドリストに記載の種のオンライン取引が2020年から2021年の間に80パーセントも増加したことが明らかになった。

絶滅のおそれに直面している野生生物は、捕獲や取引による影響を受けやすい状態にあり、法的な規制のないままに利用されることは、より危機的な状況を深刻化させる可能性があります。

また、気軽に出品できるオンライン市場での取引が増加し、需要が高まると、より多くの個体の確保が必要となり、野生の個体の捕獲圧を高めることにつながります。

これについては、現状では絶滅のおそれの高くない種についても、存続に影響を与えることが懸念されます。

際限のない大量の取引や、ブームによる急激な取引の増加などは、野生生物にとって脅威となります。

オンラインプラットフォームでは特に、匿名で誰でもが自由に取引ができる特徴から、こうした懸念のある取引の実態がまだよく把握できていないのが実情です。

そこで、野生生物をオンライン取引するにあたっては、次の「2つ」のことに取り組む必要があると考えます。

【取り組み1】取引実態とリスクの把握
【取り組み2】持続可能ではない取引への対処

【取り組み1】取引実態とリスクの把握

どんな生きものが取引されている?実態把握の難しさ

オンラインプラットフォームを運営するEC企業は、自社プラットフォーム上の違法な出品・取引をモニタリングし、取引監視を行なっています。

しかし、オンライン取引が拡大する中、野生生物の取引実態については、把握することが容易ではありません。

理由はいくつかあります。

一つには、オンライン市場の匿名性や出品の容易さが挙げられます。

ある出品を規制してもまた別の形で出品されてしまい、「もぐらたたき」のような状況に陥りやすいということが指摘されています。

例えば、違法に出品されていた商品をEC企業が削除して対処したとしても、タイトルやアカウントを変えて再度出品することが簡単にできてしまいます。

他にも、出品内容の情報そのものが不足していたり、情報が不正確だったりするケースでは、その商品が規制の対象となるものかの判断が困難になります。

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インドニシキヘビは、希少な野生生物の国内流通を規制する「種の保存法(正式名称:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)」で、皮革製品などが取引規制の対象となっている。ニシキヘビ科の一種で、インドニシキヘビの他、ビルマニシキヘビ、アミメニシキヘビなど複数の種類が存在するため、販売時に、単に「ニシキヘビ」と記載されている場合、規制の対象かを判別するには専門知識が必要になる。

さらには、不適切な出品をカモフラージュするための隠語を使用した出品や、あえて多義的な用語を使用した出品例も確認されています。

オンラインでの取引量が年々増加傾向にある中、こうした取引の実情のモニタリングに必要なリソースも膨大なものとなっていることが課題になっています。

モニタリングを行なうEC企業は、健全なプラットフォームを運営するため、複雑な法規制を理解し、一つ一つの出品が適切かを判断することが必要です。

しかし、オンライン上の野生生物取引を見てみると、未だに不適切と思われる出品が散見され、充分な体制が構築されているとは言い難い状況にあります。

EC企業や消費者が負うリスク

EC企業は「取引の場の提供者」として、その場が、安心・安全であることを担保する責任があります。

こうした野生生物のオンライン取引の現状は、下記のようなリスクを増大させる大きな一因となります。

1)消費者が不適法な取引に巻き込まれるリスク

プラットフォームが不適法な取引を排除できないと、利用者自身が法律違反を問われ、罰則を受けるおそれがあります。

たとえば、希少な野生生物の国内流通を規制する「種の保存法」では、違法な出品を行なった者だけでなく、それを購入した消費者も罰則の対象としています。

実際、オンライン上で違法に野生生物を取引したという事実で出品者や消費者が逮捕、送検された事例が多数確認されています。

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2008年から2010年の間、トラの剥製や毛皮をインターネットオークションに出品して取引したことで古物商や客の計9名が書類送検された。

2)経費増加やレピュテーション低下のリスク

運営するプラットフォームで不適切な取引が発生した場合、プラットフォームに出品する店舗・出品者と消費者とのトラブルに対処するための人的・資金的なリソースが必要になります。

また、「安心・安全な取引の場を提供してくれる」という消費者の期待を裏切ることになるため、不適切な取引が発生してしまったこと自体が、企業の姿勢を問う、レピュテーションリスクになり得ます。

消費者が訴追されてしまうリスクを未然に防ぐため、EC企業はオンラインプラットフォーム上から不適切な出品をなくしていくことが求められます。

そのためには、不適切な出品の実態について把握する必要があります。

【取り組み2】持続可能ではない取引への対処

法的に取引規制の対象となっていない場合でも、絶滅危機種をオンラインで取引することは問題だ、とする指摘がなされるようになっています。

例えば、南西諸島に生息するシリケンイモリの例が挙げられます。

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シリケンイモリ(Cynops ensicauda)。

シリケンイモリは、南西諸島に分布する固有種で、IUCNのレッドリストでVU(危急種)、環境省レッドリストでNT(準絶滅危惧)、沖縄県及び鹿児島県レッドリストでも準絶滅危惧に選定されています。

しかし、法律や条例で取引規制や捕獲規制は設けられていないため、合法的に捕獲し、販売することが可能な状況にあります。

そして、イモリを鑑賞する「イモリウム」のブームとともに、オンライン上でのシリケンイモリの取引が増加し、日本をはじめ、欧米でもオンライン取引が確認されるようになりました。

報告書『日本の両生類のペット取引』によると、欧米のサイトでもシリケンイモリ(IUCNレッドリスト:VU)やアカハライモリ(IUCNレッドリストNT)といった絶滅のおそれのある種の取引が確認された。

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シリケンイモリの生息地の一つ奄美大島。日本の中でも特に生態系が豊かな南西諸島で希少な固有種の持ち出しが問題となっている。例えば、シリケンイモリが一度に200匹以上島外に持ち出される事例が発覚しており、「レッドデータおきなわ」では、成体の乱獲が個体群に深刻な影響を与えていることが指摘されている。持ち出しの背景には、オンラインでの固有種の販売が指摘されている。固有種の持ち出し件数は年々増加しており、2019~2022年の間に空港で把握された件数は7~8倍に増加した。

こうした絶滅のおそれのある野生生物が、オンライン上で過剰に取引される背景には、「絶滅のおそれがある≒希少価値が高いから」ということが指摘されています。

しかし、商品を出品する店舗や出品者、これを購入する消費者は、

  • 合法であれば、問題がないのか
  • 絶滅のおそれのある生きものの取引が野生個体に与える影響はないか
  • 『珍しいから欲しい』は正しいのか

ということを一考する必要があるのではないでしょうか。

そして、取引を仲介するオンラインプラットフォームを運営するEC企業も、こうした取引が自社のプラットフォーム上で展開されていることの是非について考え、対処していく必要があります。

絶滅危惧種を取引から守る

どうしたら絶滅のおそれのある野生生物を不適切な取引から守ることができるでしょうか。

第一に、法律やルールで取引規制や捕獲規制を十分に設けるべきという方法があります。

一方、法律で取引規制や捕獲規制を設けるためには、それぞれの生物の十分なデータやそれを調べるための人的・財政的なリソースが必要であり、絶滅のおそれのある生物種の全てを評価することは簡単なことではありません。

野生生物の調査・評価には長い年月がかかると言われていて、取引規制が設けられるまでには平均して10年近い年月がかかると推測した調査も存在するほどです。

ですから、法規制が設けられるのを待っているだけでは、絶滅のおそれに瀕している野生生物を種の存続の危機から救うことはできないのです。

そうした中で、自由なオンライン取引の場を提供しているEC企業が、自社ビジネスが生態系に悪影響をあたえうる取引を容認するならば、問題を助長することにつながります。

これを避けるためには、自社ビジネスの影響と、生物多様性に配慮した事業を展開することの必要性を認識し、絶滅危惧種の取り扱いをはじめとして、野生生物のオンライン取引の在り方そのものを再考することが必要です。

オンラインプラットフォームに期待されること

野生生物を守る上で、今、オンライン取引を仲介するオンラインプラットフォームが積極的に役割を果たすことが求められています。

オンラインプラットフォームには、数多く存在する消費者と無数の店舗や出品者をつなぐ「接点」が多数存在します。

消費者に対して生物多様性に配慮した健全な商品を提供するために、プラットフォームに出品する個々の事業者と協力し、販売される商品の調達や生産過程におけるトレーサビリティや持続可能性を担保することのできる存在なのです。

具体的にEC企業に期待されることは、例えば以下のようなことが考えられます。

・違法な野生生物取引ゼロを目指す
法律に違反した出品を防止するためには、プラットフォームの利用者である店舗や出品者及び消費者に、野生生物取引の課題や正確な知識を持ってもらう必要があります。
そのための普及啓発活動を実施したり、ユーザーにもわかりやすいルールの整備を行なうなど、プラットフォーム運営の改善をすることで、違法なオンライン取引を排除することが期待できます。

また、出品後の対応については、モニタリングの課題を克服できるような能力・技術を向上させる体制を構築することも考える余地があります。

・持続可能ではない取引を排除する
持続可能ではない取引については、懸念のある取引の洗い出しなど実態を把握し、対処することが必要です。

店舗や出品者と共に合法性のみならず持続可能性やトレーサビリティを担保することが期待されます。

そして、これらの取り組みを業界全体で行ない、ユーザーに対し、持続可能な社会の実現を目指す姿勢を示し、取り組み自体を可視化していくことが重要です。

また、EC企業間で違反出品の傾向など、重点的に対処すべき事象の情報を共有したり、統一したルールを設けることも有効です。

世界的にも生物多様性の回復に向けて大きく舵が取られていく中、企業による自主的な取り組みが期待されています。

【参考情報1 ~主要プラットフォームの取り組み~】

持続可能ではない取引の課題に対し、一定の対策を設けているオンラインプラットフォームも存在します。

たとえば、LINEヤフー株式会社が運営するオークションサイト「Yahoo!オークション」(以下ヤフオク)です。

ヤフオクでは、法的に捕獲や取引が制限されていない場合であっても、プラットフォームが環境に与える影響を考慮し、絶滅危惧種の取扱いを原則的に禁止するというルールを設けています(2022年9月)。

さらに、2024年7月25日からは、絶滅危惧種であるかどうかを問わず、野生で捕獲された両生類の出品を禁止とするなど生物多様性に配慮したルールを追加しました。

【参考】
WWFジャパン主催で2024年6月25日に開催された「奄美大島における野生生物の密猟・持ち出し対策セミナー」にて新ガイドラインのご発表をいただきました。
奄美大島「野生生物の密猟・持ち出し対策セミナー」開催

野生生物を販売目的で大量に野生から捕獲することは、生息地の生態系のバランスを崩してしまうおそれがあるため、このような取り組みがオンラインプラットフォーム全体に広がることが期待されます。

このほかにも、国内の主要なオンラインプラットフォームでは、象牙の取引を禁止する自主ルールを設けています。

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日本では、象牙を利用した小物製品やカットピースなどを売買することは違法ではない。しかし、世界的には、象牙取引が大きな課題と捉えられ、対応策として、国内取引を禁止とする法改正を実施した国・地域が存在することから、日本では主要なECプラットフォームが象牙の取引を禁止している。

【参考情報2 ~民間セクターの取り組み~】 Global Coalition to End Wildlife Trafficking Online (野生生物の不正なオンライン取引終了に向けた国際的な連合体)

2018年、オンラインでの違法な野生生物取引を阻止するため、WWFとTRAFFIC、IFAWが呼びかけ、「野生生物の不正なオンライン取引終了に向けた国際的な連合体」(Global Coalition to End Wildlife Trafficking Online(以下、Coalition))が組織されました。

© Coalition to end wildlife trafficking online

このCoalitionは、オンラインでの野生生物・野生生物製品の不正取引の大幅削減を目標とし、達成に向けた取り組みを進める決意を表明する企業が参画しています。

現在、世界中の47のEC企業やSNS企業が名を連ねており、野生生物のオンライン取引を自主的に規制する枠組みを実行しています。

参加する企業には「Google」や「Alibaba」など世界的な大手企業が参画しており、その他アメリカ・中国にとどまらずEUやアジア・アフリカなど世界中に広がっています。

参加企業は以下のことにコミットすることを誓約している。

  1. 野生生物の取引に関するポリシーの策定
  2. 行動計画を策定
  3. モニタリング能力の向上(スタッフのトレーニング等)
  4. プラットフォームユーザーへの啓発
  5. 市民社会の巻き込み
  6. モニタリング技術の促進・開発
  7. 企業間でのベストプラクティスの共有

2018年の発足時から2021年までの間に、1,163万1,819件もの違法なオンライン出品が削除され、10億8,867万9,149件ものSNSメッセージにより、ユーザー啓発が行なわれました。

【参考情報3 ~世界的な取り組み~】

2019年、絶滅のおそれのある野生生物の国際取引を規制する「ワシントン条約」の決議の中に、オンライン取引の課題について、日本を含む締約国が取り組むべき具体的な内容が示されました。


その内容は、

  • インターネット空間をモニタリングし、かつ、情報を共有するための体制を構築すること
  • 一般市民に課題周知を図ること
  • オンラインプラットフォームと連携して野生生物の不適切な取引防止のためのポリシーを設けてその遵守を確保すること
  • オンラインユーザーに対して法令やプラットフォームの定めたルールの遵守を勧めること

など、多岐にわたります。

また2022年には、EUで「EU Action Plan against wildlife trafficking(違法な野生生物取引に対抗する行動計画)」が改訂され、国を超えて野生生物のオンライン取引の課題についても優先的に取り組むことが明確化されました。

行動計画には、2024年から本格的に始動する「デジタルサービス法」を活用した取り組みが盛り込まれている。デジタルサービス法は、プラットフォームを運営するEC企業に対して「違法なコンテンツをオンライン空間から排除する」ことを積極的に求めるものとして期待されている。

こうした世界的なオンライン取引に関する対策・取り締まりは今後も強化されていくことが予測されます。

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