野生生物を守る-「税関」のもうひとつの仕事
2020/01/31
みなさんは、税関というと、何を思い浮かべるでしょうか。
海外旅行の帰りに、空港で税関申告書を記入して提出したり、税関職員に付き添われた麻薬探知犬と遭遇したり、といった経験のある方もいるかもしれません。
実はあまり知られていない、税関のもうひとつの仕事に、「野生生物を守ること」があります。
今週、WWFジャパンの野生生物取引監視部門であるTRAFFICのスタッフから、そんな税関の役割について、実際に職務につかれている「横浜税関」の職員さんに向けて、研修講義をさせていただきました。
税関が野生生物を守る役割を担うに至った所以が、1975年に設立した「ワシントン条約」-研修講義のテーマです。
ワシントン条約は、絶滅の恐れのある野生動植物を有害な取引から守るために発足した条約で、1980年に日本が加盟して以来、日本の税関では規制対象となるさまざまな動植物の輸出入を監視し、違法行為を取り締まっています。
取引により影響を受けている野生生物は、近年日本でも問題になっているカワウソやカメなどのエキゾチックペットをはじめ、ゾウ(象牙)、トラ(毛皮、骨など)、サイ(角)、ウナギ(食用)、ローズウッド(木材)、ラン(観賞用)など多岐にわたり、現在、条約の対象種は36,000種近くに上ります。
取引の動向も日々変化し、条約の対象種や制度もどんどん新しくなっていくため、横浜税関では定期的に、ワシントン条約の講義が職員の研修に盛り込まれているのです。本日参加された職員の皆さんも、最新情報に熱心に耳を傾けていました。
研修のほかにも、空港での普及啓発活動など、今後も違法取引の問題解決に向け、税関の皆さんとの協力に力を入れていきたいと思います。
(野生生物グループ TRAFFIC 北出)