動物園のゾウの象牙の「密輸」は何が問題か?
2020/01/15
昨日、動物園の元職員が、成田空港からラオスへ、象牙をはじめとする、さまざまな動物の牙や骨などを「密輸」しようとした疑いで、逮捕される事件がニュースになりました。
逮捕の理由は、「象牙」のような絶滅の恐れのある野生動物の身体の一部を、許可なく国外に持ち出す行為が、日本の国内法の「関税法」に抵触したため。
また同時に、野生生物の国際取引を規制する国際法である「ワシントン条約」にも違反するものです。
「飼われていた動物の骨や牙なら、密猟されたわけではないのだから、問題ないのでは?」
そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、仮に密猟には直結していなくとも、こうした行為には重大な問題があります。
まず日本では今も、印鑑などをはじめさまざまな用途で象牙が利用され、「国内販売」に限り、合法的な象牙取引が行なわれています。
ですが今、止まないゾウの密猟を阻止するために、象牙の需要を削減するための取り組みが世界では拡がっています。世界最大の市場とされてきた中国をはじめ、国内取引を禁止する国も増加。
それでも密輸、すなわち法の目をかいくぐった違法な取引は、後を絶ちません。
アジア諸国の経済成長と、引き続く中国での需要に伴って、近隣のミャンマーやラオス、ベトナムやタイといった国々での象牙の違法取引が増加傾向にあります。
今回逮捕された容疑者もラオス国籍であったとのこと。
その中で、日本国内では「合法」とされる象牙が、「違法」に国外に持ち出され、国際的な象牙の闇市場を活性化させるようなことがあってはなりません。
とりわけ多くの外国人が日本を訪れる2020年。
こうした問題にもぜひ、ご関心をお持ちいただければと思います。