©David Lawson_WWF-UK

日本でコツメカワウソの密輸が発覚


本日、警視庁から、コツメカワウソを密輸しようとした日本人の容疑者2名を1月21日に逮捕した、という発表がありました。

事件が発覚したのは昨年10月。タイから日本へ違法に持ち込んだ5頭のコツメカワウソを、東京税関の職員が発見したというものです。容疑は関税法違反です。

コツメカワウソは生息地である東南アジアでは、森林の減少などによって絶滅が心配されている野生動物。「ワシントン条約(CITES)」でも「附属書Ⅱ」に掲載されており、野生生物の国際取引が規制されています。

ペットとして密輸されそうになり、保護されたカワウソ(タイ)

日本では時に100万円以上の値が付くペットとして、また動物園などの花形として大人気を博していますが、こうした野生での絶滅の危機や、保護の対象となっていることは、あまり広く認識されていません。

今回のような違法取引の事例も後を絶たず、昨年、私たちが実施した緊急調査でも、2017年に東南アジア4カ国で押収された生きたカワウソ45頭のうち、32頭が日本向けであったことが分かりました。

WWFジャパンの野生生物取引監視部門TRAFFICによる報告書『Otter Alert:日本に向けたカワウソの違法取引と高まる需要の緊急評価』

今年5月にはスリランカで「ワシントン条約」の第18回締約国会議(COP18)が開かれますが、これに向け、コツメカワウソを「附属書Ⅰ」に掲載する提案も出されています。

提案が採択されれば、商業目的の国際取引は全面禁止となり、日本国内の取引についても、国への個体登録などが義務として求められることになるでしょう。実現すれば、保護活動上の大きな前進ですが、そもそもこのような対応が必要になる時点で、残念なことと言わねばなりません。
まだまだ日本ではカワウソ人気が続きそうですが、その裏側にある問題にもしっかり注目していただけるように、取り組みを続けていきたいと思います。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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