水際の最前線に立つ税関職員へ 野生生物取引についてレクチャー
2021/06/04
私たちWWFジャパンの野生生物取引監視部門であるTRAFFICでは、毎年、新たに税関の任務に就かれる新入関職員の方々の研修で、「ワシントン条約」のコマを担当させていただいています。
昨年はコロナの影響で参加できませんでしたが、今年は初めて、オンライン形式の授業に講師として登壇しました。
参加されたのは約270名の職員の方々。オンラインで直接お顔を拝見できないのは残念でしたが、普段詳しく知る機会の少ない「野生生物」について、思いを込めてお話させていただきました。
税関は、さまざまな輸出入貨物の通関、そして密輸の取り締まりを行ないます。
その中で、「野生生物」の輸出入については、絶滅のおそれのある野生生物を守るための「ワシントン条約」のルールに即しているかをチェックしています。
一方で、このルールを破って行なわれるのが「違法取引」、つまり密輸です。
講義では、条約のしくみに始まり、実際にどのような動植物が、輸出入されているのか、また、違法取引の対象となっているのか、事例やデータを用いて解説しました。
日本への密輸が近年相次ぐ野生生物には、カメやフクロウなどエキゾチックペットとして利用される希少な野生動物や、ベッコウ(タイマイの甲羅)などがあります。
逆に「日本から海外へ」、象牙や爬虫類などの希少種が違法に輸出される事件も発覚しています。
こうした動向を税関職員の方にお伝えすることで、水際の監視や摘発に役立ててもらうのも私たちの重要な役割のひとつ。
何年後かの研修の講義で、「違法取引が減少しています」とお話できることを願いながら、日々の活動にも励んでいきます。