絵本あんぱるぬゆんた原画展@那覇 開催


7月29日(月)から8月3日(土)まで、名蔵アンパルを舞台にした古謡アンパルヌミダガーマユンタ(網張ぬ目高蟹ゆんた)を題材にした絵本「あんぱるぬゆんた」の原画展が沖縄県那覇市で開催されます。

© WWFジャパン

沖縄県石垣島にある名蔵アンパル。甲殻類をはじめとする生物相の多様性の価値が国際的に認められ、2005年11月にラムサール条約湿地に登録された。

この名蔵アンパルの地元に伝わる古謡には、干潟に生息する15種類のカニ達が次々に登場します。

各種の特徴的な生態が表現されている世界でも珍しい民謡で、そうしたカニ達が自分の強みを活かしながら協力して生年祝の宴の準備を進めるという楽しい仕事歌(ゆんた)です。

アンパルの生きもの達が、石垣の人にとって親しい存在だったことが分かります。

© 島村賢正(アンパルの自然を守る会)

ラムサール条約湿地・名蔵アンパルに生息する多種多様なカニ類

この絵本は、我が-やいまの自然環境を考える会の故 宮城信博会長が中心になって復刻出版され、2023年2月に沖縄タイムス出版賞(児童書部門)を受賞されました。

昨年8月に宮城会長が逝去された後、奥様の宮城礼子さんがご遺志を継がれ、次世代に「あんぱるぬゆんた」を伝えたいという思いを共にする宮城さんを慕う仲間の皆さんが協力し、沖縄タイムス社と共催で、原画展が開催されることになりました。

宮城会長には生前、名蔵アンパルの自然をまもるための要請活動などで度々同行させて頂きました。

活動に関わる一員として、宮城会長や我が-やいまの自然環境を考える会の皆さんの、八重山の行く末への熱い想いに、いつも感銘を受け、励まされてきました。

宮城信博さんのご著書「八重山日和り・北木山夜話」(文芸春秋)八重山への思いとユーモアに溢れたエッセー集

絵本「あんぱるぬゆんた」(文 代田昇氏 絵 宮良貴子氏)は、「つらいことはあるけれど、皆で力を合わせ、唄い、踊り、明るく生きていく」という物語(栃木県佐野市・風の子保育園園長 長谷川一宏氏の書評より)でもあります。

この絵本は、私を含め活動のメンバーにとって、何をまもろうとしているのかを忘れず、心を一つにして活動をしていくための、拠り所になっています。

何より絵が大変美しく、またカニ達が生き生きとして、楽しい気分に満ちた絵本ですので、今回の原画展で、多くの方がこの絵本の素晴らしさに触れて頂ければと願っております。

<絵本「あんぱるぬゆんた」原画展>
日時 2024年7月29日から8月3日(土)まで
場所 沖縄タイムスビル2F(沖縄県那覇市久茂地2-2-2)
主催 我が-八重山の自然環境を考える会
共催 沖縄タイムス社
入場無料

(野生生物グループ 小田倫子)

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自然保護室(野生生物)
小田 倫子

弁護士として10年間稼働後、家族の転勤に伴い沖縄県名護市に居住したことを契機に、自然保護の仕事を志し大学で保全生態学を専攻、2013年WWF入局。法人パートナーシップ担当として生物多様性保全・気候危機対策に関する企業との協働プロジェクトの提案・実施業務を担当後、野生生物グループに異動、今は国内希少種を保全するフィールドプロジェクトを担当。
学士(法学・農学 東京大学)
法学修士(カリフォルニア大学バークレー校)

国内希少種の宝庫である南西諸島で主に活動しています。フィールドで生き物に出会い、その美しさ・不思議さを仲間と分かち合える瞬間が至福の時。趣味は里山散策と水生生物の観察。

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環境保全団体です。

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