© Kui Buri National Park

センザンコウ、木に登る(動画あり)


世界で8種が生息しているセンザンコウ(英語名Pangolin)は、センザンコウ目(鱗甲目)に属する哺乳類です。東南・南アジアとアフリカに分布しています。

ちなみに、同じくアリを食する、硬いうろこに覆われた哺乳類として、アルマジロがいます。アルマジロはアリクイ目の哺乳類で、アリクイの仲間は中南米だけに生息しています。

サバンナセンザンコウ(右)とピチアルマジロ(左)。
写真右 © naturepl.com / Neil Aldridge / WWF 写真左 © Michel Gunther / WWF

サバンナセンザンコウ(右)とピチアルマジロ(左)。

センザンコウは、まつぼっくりのような大きなうろこで覆われた姿が特徴的で、この硬い鎧には、肉食獣も歯が立ちません。
大きな爪を使って木登りも上手です。

しかし、このうろこや爪が高値で密売されるため、センザンコウは「世界一密猟されている哺乳類」と言われています。2021年には少なくとも23.5トンのセンザンコウやその部位が取引され(TRAFFIC調べ)、8種すべてがIUCN(国際自然保護連合)の絶滅危惧種となっています。

WWFジャパンは、センザンコウの生息地であり、国際的な野生生物取引の拠点となっているタイ・ミャンマー国境地帯で、密猟・違法取引対策を進めるWWFタイの活動を支援しています。

2月17日は世界センザンコウの日(毎年2月第3土曜日)。
絶滅の危機に瀕する野生生物は増加し続け、昨年12月に発表された最新のIUCNレポートによると世界で44,016種。
人間の欲望が、地球上の他の生物を絶滅に追いやる。
既に姿を消してしまった野生生物も少なくありません。
生きたセンザンコウの姿が森から消えてしまわないために、私たち人間が何ができるのか、考える日にできればと思います。
(野生生物グループ 小田倫子)

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自然保護室(野生生物)
小田 倫子

弁護士として10年間稼働後、家族の転勤に伴い沖縄県名護市に居住したことを契機に、自然保護の仕事を志し大学で保全生態学を専攻、2013年WWF入局。法人パートナーシップ担当として生物多様性保全・気候危機対策に関する企業との協働プロジェクトの提案・実施業務を担当後、野生生物グループに異動、今は国内希少種を保全するフィールドプロジェクトを担当。
学士(法学・農学 東京大学)
法学修士(カリフォルニア大学バークレー校)

国内希少種の宝庫である南西諸島で主に活動しています。フィールドで生き物に出会い、その美しさ・不思議さを仲間と分かち合える瞬間が至福の時。趣味は里山散策と水生生物の観察。

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