© naturepl.com / Suzi Eszterhas / Wild Wonders of China / WWF

今日は「世界一密猟されている哺乳類」の日


象牙が狙われるゾウ、毛皮や骨が珍重されるトラなど、絶滅のおそれのある動物の密猟や違法取引が、今も世界各地で横行しています。

では、世界で最も多く密猟されている哺乳類は何でしょう。


正解は、センザンコウ(英語名Pangolin)です。

東南アジアとアフリカに計8種が生息するセンザンコウは、全種がIUCN(国際自然保護連合)の絶滅危惧種で、国際的に取引が禁止されています。にもかかわらず、TRAFFICの調査によると、2021年には少なくとも23.5トンのセンザンコウやその部位が取引されています。
その大きな硬いうろこや爪、皮や肉が高値で違法取引され、「世界一密猟されている哺乳類」と呼ばれています。

タイのクイ・ブリ国立公園内で撮影されたセンザンコウ
© Kui Buri National Park

タイのクイ・ブリ国立公園内で撮影されたセンザンコウ

今日は「世界センザンコウの日」(毎年2月第3土曜日)。
特にタイは、センザンコウのアジア密売ルートの要となっている国で、WWFジャパンは、2021年からタイ国内の対策を支援してきました。

日本からも参加して現地で開催されたトレーニング・ワークショップでは、実際に野生生物犯罪を摘発した取締官によるレクチャーや、ロール・プレイイングによる捜査の訓練に、参加者が熱心に参加していました。

2023年6月に3日間にわたりタイ国内ダーン・シンコンで開催されたトレーニング・ワークショップの様子。ロール・プレイイング・プログラムでは、国立公園職員が密売者に扮し、実地でリアルな訓練が行われました。
© WWF-Japan
2023年6月に3日間にわたりタイ国内ダーン・シンコンで開催されたトレーニング・ワークショップの様子。ロール・プレイイング・プログラムでは、国立公園職員が密売者に扮し、実地でリアルな訓練が行われました。
© WWF-Japan

2023年6月に3日間にわたりタイ国内ダーン・シンコンで開催されたトレーニング・ワークショップの様子。ロール・プレイイング・プログラムでは、国立公園職員が密売者に扮し、実地でリアルな訓練が行われました。

WWFは、センザンコウをはじめ密猟による野生生物の絶滅を防ぐために、今後も各国連携して取組みを進めていきます。

(野生生物グループ 小田倫子)

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自然保護室(野生生物)
小田 倫子

弁護士として10年間稼働後、家族の転勤に伴い沖縄県名護市に居住したことを契機に、自然保護の仕事を志し大学で保全生態学を専攻、2013年WWF入局。法人パートナーシップ担当として生物多様性保全・気候危機対策に関する企業との協働プロジェクトの提案・実施業務を担当後、野生生物グループに異動、今は国内希少種を保全するフィールドプロジェクトを担当。
学士(法学・農学 東京大学)
法学修士(カリフォルニア大学バークレー校)

国内希少種の宝庫である南西諸島で主に活動しています。フィールドで生き物に出会い、その美しさ・不思議さを仲間と分かち合える瞬間が至福の時。趣味は里山散策と水生生物の観察。

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生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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