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グルグル茶にユキヒョウの生息地ラダックを想う


「グルッ、グルッ」とリズミカルな音が部屋に響きます。
材料を混ぜるときに鳴るこの音が名前の由来となった「グルグル茶」。

先日、このグルグル茶とチュータギー(カレー味のすいとん)の料理教室に参加してきました。どちらも西ヒマラヤのラダックで親しまれる伝統料理です。

黒茶、お湯、バター、塩、牛乳を「グルグル」という筒状の道具に入れ、空気を含むように混ぜます。

野菜や肉を入れたカレースープの中に、小麦粉を水で練ったお団子が入っています。チュータギは客人向けの料理だそうです。
© WWF-Japan

野菜や肉を入れたカレースープの中に、小麦粉を水で練ったお団子が入っています。チュータギは客人向けの料理だそうです。

小麦粉でできた生地を蝶ネクタイの形にしてスープを絡みやすくするのがポイント!
© WWF-Japan

小麦粉でできた生地を蝶ネクタイの形にしてスープを絡みやすくするのがポイント!

スカルマさんは2004年からラダックの支援をされています。
© WWF-Japan

スカルマさんは2004年からラダックの支援をされています。

料理を教えてくださったのは、ラダック出身のスカルマ・ギュルメットさん。日本とインドでNPO法人を立ち上げ、ラダックに住む子供たちの教育や、自然エネルギー技術を活用した開発支援などの活動をされています。

独特の文化を育み、環境に負荷の少ない生活をしてきたラダックの人々。しかし、今、気候危機や開発、グローバル化の影響を受け、その暮らしが変化しています。物質的に豊かになる一方で、環境や伝統などが失われつつあるのです。

また、そうした影響を受けるのは、人間だけではありません。そこに暮らすユキヒョウをはじめとする野生生物も個体数減少や人間との軋轢(あつれき)などさまざまな脅威にさらされています。

WWFジャパンでは、ラダックに生息するユキヒョウの保全活動に取り組んでいます。
現地では、インドオフィスのスタッフと連携し、ユキヒョウの生息状況調査や女性グループへの職業支援などを実施。
また、ユキヒョウとの共生に向け、ラダックの人々と一緒に持続可能な土地利用の実現を目指しています。

ヒマラヤ山脈やアルタイ山脈などアジアの山岳地帯に分布するユキヒョウ。推定個体数は約4,000頭ですが、さらに減少することが心配されています。
© Sascha Fonseca / WWF-UK

ヒマラヤ山脈やアルタイ山脈などアジアの山岳地帯に分布するユキヒョウ。推定個体数は約4,000頭ですが、さらに減少することが心配されています。

「発展だけではない、伝統や環境をも守るバランスの取れた持続可能な社会にしたい」と思いを語ってくださったスカルマさん。

熱々のグルグル茶とチュータギ、そしてスカルマさんの想いに体と心が熱くなりました。

【寄付のお願い】ユキヒョウの未来のために|野生動物アドプト制度 ユキヒョウ・スポンサーズ

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
浅川 陽子

学士(法学)
大学卒業後は官公庁に勤務。JICAの青年海外協力隊としてインドネシアの国立公園で環境教育とコミュニティ開発に携わった後、2018年にWWFに入局。
ペットプロジェクトでは、規制強化を担当し、2021年からは消費者の意識変容に向けた取り組みにも着手。

動物好きな消費者が、野生動物を絶滅の危機にさらしてしまわないよう、あるべき野生動物との付き合い方、社会のルールとは何か、を日々勉強中。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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