カワウソの国内取引がまもなく禁止に!密輸を防ぐために、国内法の役割は?
2019/11/08
WWFジャパンで野生生物取引を担当するTRAFFIC(トラフィック)の北出です。
11月3日に東京大学で開催されたシンポジウムで、カワウソの密輸問題について講演してきました。
「緊急シンポジウム:日本人とコツメカワウソの付き合い方を考える~課せられる規制制度とその対応」と称されたこのイベント。
実は、今年8月末に開催されたワシントン条約会議で、コツメカワウソの国際取引禁止が決定したことを受けて、今般「種の保存法(※)」で日本国内の取引も原則禁止されることに。この取引禁止が11月26日に迫っています。
これで本当に密輸が防げるようになるのか。
国内法のペット取引規制は十分なのか。
こうしたさまざまな疑問や論点を整理するために企画されたのが、今回のイベントでした。
主催したのは、カワウソの研究者が中心となって、今年10月に設立したばかりの「日本アジアカワウソ保全協会」。
講演者・パネルディスカッションには、TRAFFICのほか、環境省、動物愛護法改正に携わるNGO、動物園関係者が参集し、参加者からも活発な質問や意見が飛び交いました。
中でも、私たちが注目しているのが、種の保存法で「例外」として認められる取引。環境大臣に「登録」をしたものについては、ペット取引のような商業流通であっても例外的に許可されるのです。
このため、密輸された個体が間違っても「登録」されるようなことが無いように、取引の禁止後は、しっかり取り締まらなければなりませんが、今のところはまだその懸念が大きく残されています。
これからも、パブリックコメントや提言を通じて環境省に厳格な審査を働きかけていきたいと思います。
※正式名称:「絶滅の恐れのある野生動物の種の保存に関する法律」)