©WWF-Japan/ Y.Okamoto

世界カワウソの日に考える「人と野生動物の共存」


今月5月29日は、World Otter Day(世界カワウソの日)。

International Otter Survival Fund(国際カワウソ生存基金)により提唱され、毎年5月の最終水曜日とされています。

一口にカワウソ、といっても実は世界には13種が生息。
体長が2m近くにもなるオオカワウソからカワウソ類で最小のコツメカワウソ、一生のほとんどを海で過ごすラッコなどさまざまです。

南米に生息するオオカワウソ(左)、南・東南アジアに生息するコツメカワウソ(中)、北太平洋の沿岸地域に生息するラッコ(右)。
© R.Isotti, A.Cambone / Homo Ambiens / WWF, ©WWF-Japan/Y. Okamoto, © WWF-US / Keith Arnold

南米に生息するオオカワウソ(左)、南・東南アジアに生息するコツメカワウソ(中)、北太平洋の沿岸地域に生息するラッコ(右)。

比較的知名度も高いカワウソ類ですが、取り巻く状況は決して楽観視できるものではありません。

生息地の破壊や汚染、気候変動、毛皮・伝統薬・ペット目的の乱獲などにより、現在カナダカワウソ以外の12種で個体数が減少しており、5種がIUCNのレッドリスト上で絶滅危機種に指定されています。

一方で、韓国やヨーロッパ各地、シンガポールなど一部の地域では、保全の努力により固有のカワウソの個体数が回復したケースも報告されています。

ヨーロッパ地域では20世紀にユーラシアカワウソの個体数が大きく減少しましたが、現在ヨーロッパの中央部では個体数が増加していると考えられています。
© R.Isotti, A.Cambone / Homo Ambiens / WWF

ヨーロッパ地域では20世紀にユーラシアカワウソの個体数が大きく減少しましたが、現在ヨーロッパの中央部では個体数が増加していると考えられています。

しかし、カワウソの個体数が回復した地域では、漁業資源である魚介類への食害、人や飼い犬が噛まれる、フンの悪臭など、人間との利害が衝突しさまざまな問題が起きています。

日本でも北海道沿岸でラッコが増加していることから、コンブやウニ漁への影響も懸念されており、決して無関係ではありません。

アマゾンの森、ヨーロッパの湖沼、アジアの川、そして北太平洋の海。世界のカワウソたちが生きる自然は、実に多様です。

こうした自然を守りながら、どうすれば、カワウソたちとも上手く共存していけるのか?国際カワウソの日に、ぜひ考えてみませんか。
(野生生物グループ・岡元)

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

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