専門誌上でコツメカワウソの取引について発表!
2024/03/28
カワウソ類の中で最小であるコツメカワウソ。
かつてTV番組やSNSの影響で日本におけるペット需要が急増し、多くのコツメカワウソがペット目的で日本に輸入され、複数の密輸事件も発覚しました。
コツメカワウソはもともと生息地における環境破壊や毛皮目的の乱獲により数を減らし、IUCNレッドリストでVU(危急種)に指定される絶滅危惧種。
こうした日本をはじめとするペット需要の増加が絶滅リスクを高めるとして2019 年にワシントン条約附属書Ⅰに掲載され、国際取引は原則禁止となりました。
国際取引は原則禁止になった一方、日本では依然過去に輸入されたコツメカワウソのペット飼育やアニマルカフェでの展示が見られます。
また日本で本種のペット利用が引き続き行なわれていることは国際的にも認知度が高く、国外の専門家から輸入状況や国内取引に対する規制について疑問の声が上がっていました。
そこで、今後の保全活動や普及啓発に役立てるため、日本でのこれまでのコツメカワウソのペット取引や規制状況を論文にまとめ、国際的な専門誌上で発表することにしました。
THE CURRENT STATUS OF REGULATION OF ASIAN SMALLCLAWED OTTERS Aonyx cinereus TRADE IN JAPAN(日本におけるコツメカワウソの取引に対する現在の規制状況について)
ペット目的の取引によって絶滅の危機が高まり、国際取引が規制されるようになった野生動物は、コツメカワウソだけではありません。
環境破壊や汚染、地球温暖化など、さまざまな要因が今、多くの野生動物を脅かしています。
そうした中で、「かわいい」「珍しい」という理由で野生動物をペットにすることが、その動物にとって更なる「脅威」とならないか立ち止まって考えることが必要です。(野生生物グループ・岡元)