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オランダで、野生動物のペット飼育規制始まる!


世界中人気を博しているさまざまな野生動物のペット飼育。
しかし、そのペット利用が、環境問題の一因になっています。

そうした中、オランダはペット利用の規制の導入に取り組んできました。

そのための法改正では、ペット利用が認められる動物種を制限し、リスト化。それ以外の動物については飼育を禁止する「ポジティブリスト」の導入が進められてきました。

そして、その新法が2024年7月1日から施行されています。


これにより、今後オランダで哺乳類のうちペットとして飼育が認められるのは、犬や猫、ウサギやフェレットなど30種の動物に限定され、サーバルやフェネック、カピバラ等の野生動物は対象外となりました。

© John E. Newby / WWF

本規制が導入された背景には、近年オランダで犬猫以外のエキゾチックペットを飼育する人が急増したことがあります。こうした動物が必要とする特殊なケアを十分理解せず、飼育するケースも多発していました。

今回の規制対象の選定にあたっては、300種あまりの動物1種ずつについて、公衆衛生や安全、動物福祉上におけるリスクを調査。総合的なリスクが低いものから高いものをA~Fの6段階で評価しています。

この総合的なリスク評価と、家畜化動物であるかどうか等を加味して、ペット飼育が認められる種が選定されました。

© FreeImages.com/darzeebs.

今回、オランダにおいてペット飼育が認められる種から除外された、南米原産のチンチラ。総合的なリスク評価はEとされています。

飼育が許可される30種以外の哺乳類を既にペットとして飼育している場合、その旨を申告した上で終生飼育が認められますが、野外に放つことや、その動物を繁殖させることは禁止されました。

なお、今回指定されたのは哺乳類のみです。

鳥類や爬虫類、両生類など他の分類群の動物については今後対象種の選別が行なわれることが予定され、対象種が決定されるまでは継続して飼育ができます。

© Terry Sora

世界的にペットとしての人気が高いグリーンイグアナ。オランダにおいても2000年から2017年の間に4万頭以上の生きたグリーンイグアナが商業目的で輸入されたことが報告されています。

近年、諸外国では、ペット飼育や展示に対する規制の強化が進んでいます。

日本でも特に野生動物のペット飼育や、これに関連するビジネスが環境問題を引き起こしていることから、その規制についても見直すべき時に来ています。

私たちは、日本において適切な規制が行なわれ、課題解決が進むようこれからも働きかけを続けていきます。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

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