©Carol Bennetto

World Otter Day(世界カワウソの日)2022


本日5月25日は、World Otter Day(世界カワウソの日)です!

この記念日は、カワウソ類の啓発や保全に関する意識を世界中の人々に高めてもらおうと、International Otter Survival Fund(国際カワウソ生存基金)により提唱されたもので、毎年5月の最終水曜日とされています。

さて、突然ですが、みなさんは世界にカワウソが何種生息しているかご存知でしょうか?

実は、世界には13種ものカワウソが、南極・オーストラリア大陸をのぞく、全ての大陸に広く生息しています。

しかしながら、毛皮やペット目的の違法取引、生息地の破壊や気候変動がカワウソたちに脅威となっています。現在13種のうちカナダカワウソを除く12種で個体数が減少しており、ラッコなどの5種がIUCNのレッドリスト上で絶滅危機種に指定されています。

ラッコ(Enhydra lutris)は、和名から全く別の動物と思われがちですが、英名はSea otter【海のカワウソ】でカワウソの仲間です。近年、北方からの個体が北海道沿岸に定着していることが確認されています。
© Jim Lewis

ラッコ(Enhydra lutris)は、和名から全く別の動物と思われがちですが、英名はSea otter【海のカワウソ】でカワウソの仲間です。近年、北方からの個体が北海道沿岸に定着していることが確認されています。

中でもペット目的の違法取引は、カワウソ類を含む野生動物の新たな脅威の一つ。

2010年代後半にかけ、日本でもコツメカワウソのペット需要が高まり、多くのコツメカワウソを輸入、複数の密輸事件も発覚しました。

こうした事態を受けて、2019年にコツメカワウソはワシントン条約*の附属書Ⅰに掲載され、国際的な商業取引は禁止に。

その結果、日本に向けた密輸は確認されていませんが、同種は国内取引も原則禁止であるにも関わらず、規制変更前に輸入、もしくは飼育下で繁殖した個体の販売が現在も確認されています。

コツメカワウソ(Aonyx cinereus)は、本来複数頭の群れで生活し、高い社会性を持ちます。またカニなどの甲殻類を食べるため噛む力が非常に強く、一般家庭やカフェ施設等でのペット飼育に適していません。
© David Lawson / WWF-UK

コツメカワウソ(Aonyx cinereus)は、本来複数頭の群れで生活し、高い社会性を持ちます。またカニなどの甲殻類を食べるため噛む力が非常に強く、一般家庭やカフェ施設等でのペット飼育に適していません。

今後もカワウソに対するペット需要が続けば、将来的に違法捕獲や取引が行われる可能性も否定できません。販売者が野生動物の取扱について改善することはもちろん、消費者であるわれわれも「買わない・飼わない」選択をすることが大切です(野生生物グループ・岡元)。

*絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)。国際取引(国家間の取引)の規制を通じて、密猟や乱獲を抑え、絶滅の危機にある野生の動植物を保護する条約。184カ国が加盟し、約38,800種の動植物を取引規制の対象として「附属書」に記載している。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

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