「ペット飼育」によるカワウソの悲劇
2022/09/29
2022年9月29日、大変悲しいニュースが発表されました。
東京都在住の女が、ペットとして飼育していたコツメカワウソ2頭を「懐かず、噛むから」という理由で、棒でたたいたり、追い回したりした虐待の疑いがあるとされ、動物愛護法違反容疑で書類送検されました。
容疑者はSNSにこれらのカワウソの写真を「かわいいペット」として数多く投稿する、有名な人物でしたが、実際には身勝手な理由でカワウソたちを傷つけていた可能性があります。
近年、エキゾチックペットやエキゾチックアニマルと呼ばれる犬猫以外の動物の飼育が注目を集めていますが、その中にはコツメカワウソやフェネックといった野生動物が含まれています。
しかしながら、絶滅のリスクやその生態から一般家庭での飼育に向かない野生動物を「ペット」とすることは、飼われる個体への負担や、野生個体を危機に晒すことになります。
コツメカワウソは東南アジアの湿地や熱帯雨林に生息し、カニなどの甲殻類を主に捕食する動物です。そのためこれらの殻をかみ砕くことができる強力な歯と顎を持ち、噛まれれば大怪我をする可能性もあります。
またキャットフード等の市販のエサでは栄養が偏ってしまい、水中で獲物を追いかける、といった行動ができないことは精神的なストレスにつながります。
野生動物は自然に生きる動物です。自然で生きるために重要な生態や習性への不理解や、かわいい側面だけに目を向けて安易にペットにしてしまう人間の身勝手さが、飼われる動物にとって生きづらい環境を強いることを忘れてはなりません。
WWFジャパンでは、問題の早期解決のため、政策提言や消費者の適切な選択を促すことに加え、野生動物を扱う事業者への働きかけも行なっていきます(野生生物グループ 岡元)。