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カワウソの密輸事件が発覚


11月27日、コツメカワウソの密輸事件が発覚した、という報道がありました。

これは、コツメカワウソをタイから日本に違法に持ち込もうとした日本人男性2名が、この10月に逮捕されていた、というものです。容疑は外為法違反。

コツメカワウソは、野生動植物の国際取引を規制する「ワシントン条約」で、国同士の間での輸出や輸入が制限されており、日本に持ち込むには、政府の許可が必要です。
しかし、報道によれば、今回の事件では容疑者はその許可を取らず、コツメカワウソの幼獣3頭を、ケースに入れて飛行機に持ち込み、密輸したとみられています。

現在日本では、ペットとして人気が沸騰するコツメカワウソですが、野生の世界では絶滅が心配されています。
WWFジャパンの野生生物取引調査部門であるトラフィックでは、今年10月、日本のカワウソ類の取引状況を調査した新しい報告書を発表しました。
ここでも指摘している通り、違法な取引や、その裏で行われている密猟はカワウソにとって大きな脅威となっています。
こうした問題が改善されない背景には、コツメカワウソのような国際取引の規制対象であっても、一度日本に持ち込んでしまえば、大半が自由に売買できてしまう法律の課題があります。
また、カワウソの可愛い「一面」ばかりを取り上げるマスメディアやSNSの影響力もカワウソのペット需要に拍車をかけているのです。

海外ではSNSで絶滅危惧種のイメージなどを投稿すると、注意喚起メッセージが表示される工夫も始まっています。
安易なペット人気が、野生の生きものたちにどのような影響を及ぼすのか。
こうしたニュースを機に、ぜひ皆さんも野生生物のペット需要について考えてみていただければと思います。(自然保護室三間)

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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