© WWF-Sweden / Ola Jennersten

地域と共に守る!ジャガー保全活動最前線


南米を代表する、大型ネコ科動物のジャガー。

WWFでは生息域が150年前に比べ半減してしまったこの野生動物 を守るため、さまざまな場所で保全活動を進めています。

その一つが、ブラジル南部・アトランティックフォレスト(大西洋沿岸林)の一画を占めるパラナ州です。

ブラジル国土全体(右上)の濃い灰色部分を拡大したものがパラナ州の地図(左)。西部でパラグアイおよびアルゼンチンと国境を接していることから、3か国連携の保全施策も行なわれている。
© MATER NATURA

ブラジル国土全体(右上)の濃い灰色部分を拡大したものがパラナ州の地図(左)。西部でパラグアイおよびアルゼンチンと国境を接していることから、3か国連携の保全施策も行なわれている。

私は先月、この保全の現場を訪問する機会を得て、
ジャガーを含む多くの野生動物が生息する保護区の森をはじめ、
動物たちの生息地を分断させないために農地の中に作られたコリドー(緑の回廊)などを視察しました。

© Y. Okamoto/ WWF-Japan
パラナ州のフォス・ド・イグアス国立公園に設置したカメラトラップ(自動撮影カメラ)ではジャガーの姿も確認されています(左)。私たちも実際にジャガーが残した爪痕を発見!(右)。
© Emilio White(左)、© Y. Okamoto/ WWF-Japan(右)

パラナ州のフォス・ド・イグアス国立公園に設置したカメラトラップ(自動撮影カメラ)ではジャガーの姿も確認されています(左)。私たちも実際にジャガーが残した爪痕を発見!(右)。

各所では実際に地元の住民の方々からもお話を伺いましたが、
中でも印象的だったのは、保全活動に理解を示すファームオーナー(農場主)たちの思いでした。

曰く、「以前はジャガーに家畜を襲われたこともあり、この動物に良いイメージを抱いていなかった」「しかし、ジャガーが減ってしまったことで生態系のバランスが崩れ、カピバラといった草食獣が増えてしまい、農地を荒らされる被害に悩まされていた」とのこと。

中には、ジャガーとその生息地を守る取り組みによって、自分たちの生活にプラスになると知り、「人生が変わった」と仰る方もいらっしゃいました。

ジャガーの保全活動に対する思いを語る、地元のファームオーナー
© H. Amano/ WWF-Japan

ジャガーの保全活動に対する思いを語る、地元のファームオーナー

野生動物を持続可能な形で守っていくためには、
地元住民や行政など実際にその動物と関わる人々の理解を得て、共に協力しながら、
共存の道を見出していくことが欠かせません。

日本から私たちが支援するWWFブラジルでは 、
引き続きみなさまからの応援を糧に、
地域と一体となったジャガーの保全活動を進めていきます!(野生生物グループ・岡元)

【寄付のお願い】ジャガーの未来のために|野生動物アドプト制度 ジャガー・スポンサーズ

この記事をシェアする

自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP