【動画あり】ロシアでユキヒョウの調査を実施(2020年)
2020/05/14
※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。
森林グループの天野です。
WWFロシアから年一回のユキヒョウの調査が2020年2月~3月に行われたという報せが入りました。
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調査が行われたのはロシア、モンゴル、中国、カザフスタンの国境地帯に広がるアルタイ・サヤン山脈群のロシア側。周辺には砂漠や草原など多彩な景観が広がり、WWFではこの一帯をアルタイ・サヤン・エコリージョンと呼び、世界的にも重要な自然の一つと位置付けています。日本国土の2.6倍ほどの面積があり、この生態系の頂点に立つのがユキヒョウです。
ユキヒョウは人を寄せ付けないような高地に生息するため、現在もあまり詳しい生態は分かっていません。
全個体数は約4000頭と推定されており、ロシアには70~90頭いるとされていますが、密猟や気候変動(地球温暖化)による生息地の減少で、絶滅の危機にあると考えられています。

ユキヒョウはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで、絶滅の危機が高いとされる「危急種(VU)」に選定されています。
より正確な個体数や生息地の状況を把握するため、WWFロシアは国立公園局と現地NGOと協力して2016年から毎年ユキヒョウの調査をしています。
しかし、これが尋常でないほど過酷なのです!
専門家の数が足りないため、1人テント泊で雪山を100km以上踏査することも。
百聞は一見にしかず、そんな現場の様子を映像でご覧ください!
【動画】ユキヒョウの痕跡を追う!ロシアでの現地調査
いかがでしたでしょうか?
今回の調査は、ロシアのモンゴル国境沿いにあるユキヒョウの6つの生息地で実施されました。
これまでは全てノートに記録してきましたが、今年からはWWFが開発したアプリによって、スマートフォンで迅速かつ正確な記録が可能となりました。
結果は後日発表予定ですが、調査中にさまざまな発見がありましたので、少しだけお見せします。
①2年ぶりにTerrible(酷い)という名前のメスが自動撮影カメラに写りました!しかも母親になっていた!
②ユキヒョウが確認されていなかったエリアで初の確認!
③密猟者が仕掛けた罠を撤去
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以前ユンチと名付けられたオスのユキヒョウが確認された場所になんと罠が仕掛けられてあり、撤去しました。
このように、繁殖や新たな生息地の確認が出来た一方、密猟者の罠や暖冬の影響で川が凍らなかったため調査が難航するなど、ユキヒョウを取り巻く課題の報告も上がってきました。
過酷な現場で調査を続ける仲間からのさらなるニュースを待ち、日本からの今後の支援に役立てたいと思います。