© J.Mima / WWF Japan

「ネイチャー・ポジティブ」を実現する一歩


最近、「生物多様性」という言葉を、さまざまな場で耳にするようになりました。

ビジネスや経済など、これまではなかなか聞かれなかった場でも、大事なキーワードになりつつあります。

世界の生物多様性の保全の目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が、2022年に採択されて以降、これが各国の政策にも反映されるようになり、社会に大きく広がり始めているのです。

これに伴い、もう一つ知られるようになった言葉があります。

「ネイチャー・ポジティブ」という言葉です。

これは、自然や生態系の「回復」を意味する言葉で、その実現は「枠組」の目標としても定められています。

日本国内においても、「ネイチャー・ポジティブ」の実現は大きな課題。ですが、具体的に何をすればよいのか、どうなれば達成したといえるのか、その具体的なイメージは、まだよく見えていません。

そこで、私たちWWFジャパンでは今、林業に力を入れる宮城県南三陸町の方々と協力し、「ネイチャー・ポジティブ」を形にする取り組みを始めようとしています。

一つのカギは、IUCN(国際自然保護連合)が世界に共通した「ネイチャー・ポジティブ」の条件として提示している「10の原則」。

これをどう日本の山林で実現していくのかが、私たちの大きな挑戦です。

自然豊かな森と人の関係を育んでいくために、なすべきことはたくさんあります。

真の意味で「ネイチャー・ポジティブ」を実現する一歩を、南三陸の皆さんと共に、踏み出していきたいと思います。

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自然保護室(森林)
天野 陽介

獣医になる夢やぶれ、ニュージーランドのマッセー大学で動物学と生態学を専攻。その後、毒蛇調査の 研究助手としてタイの保護区へ。そこで密猟などの違法現場に何度も直面。単に動物学だけでなく、人間社会を理解する必要があると感じ、コスタリカの平和大学で天然資源と平和学の修士号を取得。その後、国連大学でSATOYAMAイニシアティブのプロジェクトに携わり、日本の里山のように世界にも存在する人と自然のバランスがとれた貴重な場所の保全、研究、普及を担当。2019年7月からWWFジャパンの森林グループでオーストラリアとボルネオ島インドネシア領を担当する。

カエルが好きなのに、捕食者であるヘビをタイの保護区で研究していたとき、銃声が。 保護区になるまでこの地に住んでいた老人が密猟者となる負の連鎖を目の当たりにし、自然を守るには人間社会を理解する必要があると痛感。自然と共生していくためには!そして娘に嫌われない父になるためには!が人生のテーマ。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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