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岐阜県東白川村のFSC認証の森へ


明るく林床にまで光が届く森。
低層・中層のさまざまな樹木が程よく茂り、足元にもシダやコケ類の緑が広がっています。

これが人工林? ヒノキの林?!
それが森に踏み込んだ私たちの、最初の驚きと感動でした。

ここは、岐阜県の東白川村。
「東濃檜(とうのうひのき)」で知られる、古くから林業が営まれてきた地域で、持続可能な森林管理の国際認証「FSC®認証」も取得、この20年間、継続されてきました。

私たちが現在進めようとしている、国内の森林保全プロジェクトの有力なフィールドの一つでもあります。

東白川村のFSC認証林。樹種はスギとヒノキで、丁寧な枝打ちと間伐によって、明るく多様な植生がはぐくまれていました。
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東白川村のFSC認証林。樹種はスギとヒノキで、丁寧な枝打ちと間伐によって、明るく多様な植生がはぐくまれていました。

先日、この地で生産されているFSC認証材を使った建築を手掛ける愛知県一宮市の株式会社エコ建築工考房の皆さま、FSCジャパン、NPO法人バードリサーチの関係者の方々と共に、現地を訪問。

林業や製材を手掛ける地元の方々と共に、FSC認証を受けた木材の素晴らしさをどう伝え、多くの人に扱ってもらうか、2日間にわたる協議を行ない、山林もご案内いただきました。

製材所もご案内いただきました。認証材は他と混ざらないよう厳密に管理されています。東白川は気候が涼しいため木の生育が遅く、木目の詰まった良質な材が育つそうです。
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製材所もご案内いただきました。認証材は他と混ざらないよう厳密に管理されています。東白川は気候が涼しいため木の生育が遅く、木目の詰まった良質な材が育つそうです。

持続可能な形で行なわれる森林の管理は、生物多様性の保全につながる大事な取り組みです。

自然に配慮した山林の維持や、認証の継続に必要な手続きや費用など、苦労も決して小さくありません。また、林業そのものの継続も、木材価格の低迷や地域の過疎化によって、非常に厳しい状況にあります。

それでも、地元の方々は、この地の良質の材に、こだわりと誇りを持ち、その生産を続けてこられました。

どうしたら、この森の自然と人の営みを、未来に引継いでいけるのか。そして、こうした人と自然のすばらしいかかわりを、日本の中で広げていけるのか。

新たに始まったこの挑戦に、ぜひご注目いただき、応援して頂ければと思います!

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【お知らせ】
WWFジャパンではネイチャー・ポジティブを推進する取り組みの一環として、国産のFSC認証材を広めるため、企業や自治体との連携・協力を目指しています。ご関心をお持ちの方は、ぜひご連絡ください。(WWFジャパン森林グループ:forest@wwf.or.jp

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自然保護室(森林)
天野 陽介

獣医になる夢やぶれ、ニュージーランドのマッセー大学で動物学と生態学を専攻。その後、毒蛇調査の 研究助手としてタイの保護区へ。そこで密猟などの違法現場に何度も直面。単に動物学だけでなく、人間社会を理解する必要があると感じ、コスタリカの平和大学で天然資源と平和学の修士号を取得。その後、国連大学でSATOYAMAイニシアティブのプロジェクトに携わり、日本の里山のように世界にも存在する人と自然のバランスがとれた貴重な場所の保全、研究、普及を担当。2019年7月からWWFジャパンの森林グループでオーストラリアとボルネオ島インドネシア領を担当する。

カエルが好きなのに、捕食者であるヘビをタイの保護区で研究していたとき、銃声が。 保護区になるまでこの地に住んでいた老人が密猟者となる負の連鎖を目の当たりにし、自然を守るには人間社会を理解する必要があると痛感。自然と共生していくためには!そして娘に嫌われない父になるためには!が人生のテーマ。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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