ユキヒョウの消えた山


先週日曜日にNHKで放送された「ダーウィンが来た!」、ご覧になられた方、いらっしゃいますでしょうか。

アルタイの山々に生きるユキヒョウの親子とともに、WWFモンゴルのスタッフたちが取り組む保護調査活動も紹介していただきました。

映像で見たユキヒョウという動物の美しさはもちろんのこと、見渡す限り広がる厳しい山地の景観には、圧倒される思いでした。

たまたま偶然だったのですが、実は先月、私はこのユキヒョウについて記事を一つ書きました。

WWF会員の皆さまに季刊でお届けしている会報誌『地球のこと』の最新号に掲載するものです。

そのための資料を集めていた中で、私は一つ妙な記述に気が付きました。

1775年に初めてユキヒョウの存在がヨーロッパに知られ分類された時。

その記録地として報告されたのが、イランとトルクメニスタンの国境に位置するコペットダグ山脈だった、という記載があったのです。

あれ?と思い調べてみると、案の定、今はユキヒョウが生息していない場所。

しかも、現在の分布域の西端とされるパミール高原の700キロほど西に位置しており、最高峰も3,000m前後の山です。

これについては異説もあるらしく(ヒョウと見間違えたのでは?とか)、確かなことはわかりません。

ですが、コペットダグの山名を目にした時、私は野生のユキヒョウが200年前、どんな地域でどんな風に生きていたのかを正しく知る術がない事に、あらためて気づかされました。

コペットダグ山脈。果たしてユキヒョウはここにいたのだろうか?

ヒョウやタシケントアカシカなどの大型有蹄類の保護活動が行なわれています。

コペットダグとは別に、すでに確実に絶滅した地域があることからも分かるとおり、昔は今よりも広くユキヒョウたちが生息していたことは、間違いありません。

これから先の未来に、現代という時代を振り返った時、「あの頃は、ここにユキヒョウがいたそうだ」そんな言葉が子どもや孫たちの口から語られることが無いように。できる限りの取り組みを続けてゆかねばと思います。(広報室 三間)

番組情報(再放送)

NHK総合 ダーウィンが来た!生きもの新伝説「大追跡!幻のユキヒョウ」

【日時】2月4日(木)16:20~16:50
【詳細】http://www.nhk.or.jp/darwin/

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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