2019年12月20日(金)20時、NHK(BS1)で「大火災 森林・都市を襲うメガファイアの脅威」が放送されます!
2019/12/19
自然保護室の伊藤です。
12月20日(金)20時から、NHKのBS1にて『大火災 森林・都市を襲うメガファイアの脅威』が放送されます。
実は先日、この放送に向けて、WWFジャパンのスタッフに森林火災に関する取材依頼がありました。

森で起こる大規模な火災は、そこにすむオランウータンのような絶滅危惧種にも大きな影響を及ぼしてきました。WWFジャパンのスタッフのコメントは21時から始まる後編で放送される予定です。

今年は特に大規模な森林火災が起きたことを受け、私たちも緊急支援を行ないました。皆さまよりお預かりしたご寄付は、インドネシアでは消火活動支援に充てさせていただきました。
この取材で特にポイントとなったのは、日本で消費される「紙」や「パーム油」の原産国のひとつである、インドネシアでの火災です。

パーム油は世界一多く使われる植物油。日本では食品への利用が8割ですが、石けんには主成分として、他にも洗剤やシャンプーなどに使用されています。
インドネシアでは、紙の原料をつくる植林地や、パーム油の原料をつくる農園の開発により、熱帯林が切り拓かれ、整地するために火が放たれてきました。
これが、毎年起きている森林火災の大きな原因の一つになっています。

泥炭地の地中から煙があがる様子。煙が海を越え、シンガポールなど隣国に及ぶことも珍しくありません
特にスマトラ島やボルネオ島には、泥炭層と呼ばれる炭素を多く含む土で火災が起きると、地中にまで火が広がります。
こうした火の完全な消火は難しく、雨期の訪れを待つほかありません。
欧米では、多くの企業がこうした問題を食い止めるため、自社製品の紙やパーム油が、火災の発生などに関与していないか、生産の過程を確認し、それを社としても約束する「責任ある調達方針」を定めています。
紙も、パーム油も、日本の誰もが毎日お世話になっている身近なもの。
WWFジャパンも、日本の企業や消費者に対し、持続可能な方法で生産された製品や原材料を選ぶよう、働きかけています。


WWFジャパンでは持続可能に生産された紙や木材、パーム油製品を認証する、FSC®やRSPOの認証制度を推進しています。信頼のおけるこうしたマークの付いた商品を選んでゆくことで、原産国の森林保全に貢献することができます。
こうした大火災は、新聞やニュースで取り上げられることはあっても、その発生源の根幹となる問題に注目した報道は、あまりありません。
この番組では、世界の森林火災の現状とともに、森林保全を進める上で大事なことについても、紹介される予定です。
ぜひご覧いただき、普段手に取る紙製品やパーム油を含む製品ついて、考えてみていただければと思います。