脱炭素化へぶれない意志:日本のDX担い手の矜持! NTT DATA訪問記 [後編]
2025/04/28
GAFAが脱炭素や再エネ推進に熱心ということは、世界的に有名ですが、日本企業は?ということで、日本のDXを担うNTT DATAグループに取材に行ってきました。なんとNTT DATAも、昨年にネットゼロ目標を10年早めて2040年に設定しなおしたそうです!
しかもこの目標は、顧客が製品を使用した際の排出などのスコープ3の排出量まで含めてネットゼロにするという野心的な目標です。NTT DATAにとってはそもそも総排出量の90%以上がスコープ3からの排出なので、あっぱれです!しかもこのネットゼロ目標は省エネと国内再エネ中心の取り組みです。
これは当然ですが、顧客の姿勢に左右されるとても野心的な目標。そのためには顧客への働きかけが必須です。まるで機関投資家が企業にエンゲージするように、NTT DATAも企業に排出量削減を促していかねばなりません。一見すると、社会の持続可能性に貢献するCSR活動のように思えますが、実はNTT DATAにとって、顧客が脱炭素化などサステナビリティを推進することは、事業拡大につながるのです!
確かに顧客の脱炭素化にあたっては、DX推進が必須。まさに本業のど真ん中です。さらに省エネ技術や脱炭素情報にも強いNTT DATAにとっては、コンサルティングのチャンスでもあります。自らのスコープ3の排出削減の取り組みが、まさに本業発揮のチャンスともなる!明確に事業戦略にサステナビリティを組み込む姿勢は不確実な時代にあってもぶれない強い意志を感じました。
それでもネットゼロ達成を2040年に設定したのは大いなるチャレンジ。その精神はと問うと「基本的に企業が2050年ネットゼロを目指すのが多い中で、自分たちは社会インフラの一つとしてのICT業界であるから、自分たちが10年前倒しでネットゼロを実現することによって、残りの10年でお客さまをネットゼロに導いていくため」ときっぱり。

取材のご対応をいただきました株式会社NTT DATAグループ コーポレート統括本部 サステナビリティ経営推進部 グリーンイノベーション推進室 室長 山根知樹氏

聞き手役の小西。さまざまな突っ込んだ質問にも明瞭な回答をいただきました。
実は各業界の排出構造の中でITが占める割合が大きいのが銀行などの金融機関と官公庁。そういったところからDX化を取り組んでもらうことが重要だと話しておられました。それに世界情勢が不確実さを増す中、経済安全保障の観点からも、国産の“ソブリンクラウド”は非常に重要です。ちなみに小西はソブリンクラウド、という言葉を初めて聞いたのですが、まさに国産であることが非常に大切なインフラにふさわしい呼び名だと納得しました。
しかも極力使う電力は再エネで賄おうとされているとのことです。NTT DATAは、欧州にも拠点を多く持っているので、環境対策にはもともと感度が高く、文字通り脱炭素化をビジネスチャンスととらえておられるのですね。国内でも企業を巻き込んで、本業で顧客の脱炭素化を進めることで、自らの成長も描いている。そのぶれない姿勢に感動しました。ソブリンクラウド、本当に大事!応援しています!
詳しくはNTT DATA訪問記をご覧ください。
https://www.wwf.or.jp/activities/data/20250410climate01.pdf

※この記事は、日報ビジネス株式会社のご許可を受けて「隔月刊 地球温暖化」から転載しています。
(気候・エネルギーグループ 小西)