© Shutterstock / Wesley Aston / WWF-UK

アメリカにおけるジャガー違法取引事件!


かつての生息地の約半分が失われ、現在も個体数の減少が続く、ジャガー。

個体数回復に向け国際的な保全活動も行なわれる中、悲しいニュースが飛び込んできました。

アメリカで、ジャガーの幼獣を違法に取引しようとしたとして、テキサス在住の夫婦が逮捕されたのです。

調べからこの二人は同じネコ科動物であるマーゲイの幼獣も前月に違法に販売し、7500ドルを得ていたことが判明しています。

マーゲイ(Leopardus wiedii)は中南米に生息する小型のネコ科動物で、生息環境の破壊などにより、その個体数は減少傾向にあることが報告されています。毛皮やペット目的の違法取引も、そうした脅威の一因です。<br>
© David Lawson / WWF-UK

マーゲイ(Leopardus wiedii)は中南米に生息する小型のネコ科動物で、生息環境の破壊などにより、その個体数は減少傾向にあることが報告されています。毛皮やペット目的の違法取引も、そうした脅威の一因です。
※本写真の個体は事件とは無関係です。

報道によると、被疑者はエキゾチックアニマルの購入、販売、取引や輸送を行なうことができるライセンスを保有しておらず、5年以下の懲役(連邦刑務所)および約20,000 USドル(約300万円)以下の罰金が課されます。

ジャガーはアメリカの「Endangered Species Act(種の保存法)」において絶滅危惧種に指定される保護対象動物。

さらに、本事件は昨年12月にアメリカで成立した、トラやジャガー、ヒョウといった大型ネコ科動物の輸入や販売、保有を禁じる「The Big Cat Public Act(大型ネコ科動物に係る公衆安全法)」に違反し、逮捕される初のケースとなりました。

アメリカの「The Big Cat Public Act(大型ネコ科動物に係る公衆安全法)」は、トラなどの大型ネコ科動物の飼育や取引に関する規制を強化するため2022年12月に制定され、2023年6月より施行されました。規制の対象となるのは、トラ、ライオン、ヒョウ、チーター、ジャガー、ピューマとその雑種です。
© FreeImages/Lisapizza

アメリカの「The Big Cat Public Act(大型ネコ科動物に係る公衆安全法)」は、トラなどの大型ネコ科動物の飼育や取引に関する規制を強化するため2022年12月に制定され、2023年6月より施行されました。規制の対象となるのは、トラ、ライオン、ヒョウ、チーター、ジャガー、ピューマとその雑種です。

今回の事件ではジャガーやマーゲイの幼獣をどのように入手したのか、また取引先がどのような目的のために購入しようとしたのか報道では明かされていませんが、いずれも生きた幼獣であったことから「ペット」目的の違法取引である可能性があります。

ジャガーやマーゲイだけでなく、トラやサル、フクロウ、トカゲといった野生動物をペットとして飼育することは「種の絶滅」「違法取引」「動物由来感染症」「動物福祉」「外来種の発生」に関するリスクを伴います。
© Gordon Congdon

ジャガーやマーゲイだけでなく、トラやサル、フクロウ、トカゲといった野生動物をペットとして飼育することは「種の絶滅」「違法取引」「動物由来感染症」「動物福祉」「外来種の発生」に関するリスクを伴います。

こうしたペット目的の違法な取引は、開発などによる生息環境の破壊や、家畜を襲う害獣としての駆除などによって、数を減らしているジャガーを、さらに追い詰める大きな要因になりかねません。

今、生息環境を保全し、人とジャガーの共存を実現するブラジルでの試みに加え、こうした野生動物の違法取引の問題にも、引き続き取り組んでいきたいと思います。
(野生生物グループ・岡元)

WWFジャパンは、ブラジル・アマゾンにおけるジャガーの保全活動支援を行なっています。
© WWFジャパン

WWFジャパンは、ブラジル・アマゾンにおけるジャガーの保全活動支援を行なっています。

【寄付のお願い】ジャガーの未来のために|野生動物アドプト制度 ジャガー・スポンサーズ

この記事をシェアする

自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP