© WWF Japan

公園を散歩していたら… あれ、ワニがいる!?


町の中心部から少し離れた場所にある、広い敷地の公園。

芝生のような草地、子どもたちの遊ぶ遊具、ランニングコース、川に面した水辺には、木で組まれた散策路が設けられています。

時刻は夕暮れ時。楽しんでいた散歩も、そろそろ終わりにしようか、というタイミングでした。

「ワニがいる!」

散策路から見下ろせるすぐ近くの川岸、丈の低い草の中に、そのワニはいました。

大きさは1.2mほどでしょうか。じっとしていて、最初は模型かな?と思ったほど。でも、双眼鏡でよく見てみると、まぎれもない生きたワニでした。

こんな市内の公園に、ワニがいるなんて!

もちろん驚いたわけですが、実はこれ、南米ブラジルの首都ブラジリアでの出来事。

日本であれば、役所に連絡し、警察を呼ぶ大騒ぎとなりますが、こちらはさすが、生物多様性の国です。

一緒にいたWWFブラジルのスタッフも、これは珍しいよ!と言っていましたが、当のワニは泰然とした様子で、広い水辺の景色の中にしっかり溶け込んでいました。

ちなみにこのワニは、中南米では広く見られるワニの一種メガネカイマンで、世界的にも有名なブラジルのパンタナールの大湿地帯では、ジャガーの重要な獲物!にもなっています。

ワニを捕えたジャガー。水辺の森に生息するジャガーは、獲物の8割以上をワニと魚に頼っている例もあります。
© WWF-Sweden / Ola Jennersten

ワニを捕えたジャガー。水辺の森に生息するジャガーは、獲物の8割以上をワニと魚に頼っている例もあります。

私は残念ながら、この時の訪問でジャガーに出会えませんでしたが、この公園では運よく、ブラジルならではの生きものたちの「つながり」の一端を、間近に目にすることができました。

WWFブラジルが取り組んでいる、ジャガーの調査と保全活動は、アマゾンやパンタナールなど、さまざまな生きものたちが生きる、多様な自然環境を守っていく取り組みの一部でもあります。

こうした活動を、これからも日本から支援していきたいと思います。

ブラジリアにあるWWFブラジルのオフィスでのミーティング。20世紀の半ばに造られたブラジリアは、緑を豊かに配した、緻密に設計された町でした。

ブラジリアにあるWWFブラジルのオフィスでのミーティング。20世紀の半ばに造られたブラジリアは、緑を豊かに配した、緻密に設計された町でした。

【寄付のお願い】ジャガーの未来のために|野生動物アドプト制度 ジャガー・スポンサーズ

この記事をシェアする

自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP