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カタツムリ惨殺事件!その犯人は?


南米ブラジルはアマゾン川流域の北部、アマパ州で私たちが取り組んでいるジャガーのフィールド調査の現場を訪問した帰り。

WWFブラジルのオフィスがあるブラジリアの町の郊外で、奇妙なものを目にしました。

大きな穴をあけられた、大きなカタツムリの殻です。

場所は市内を流れる川べりの緑地に渡された桟道の上。

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見れば辺りには、同じような割れた殻がいくつも落ちています。

もしや!と思い、あたりを見回すと… いました!

小さな入り江のようになった水際の細い木に、一羽の鳥の姿が。

カタツムリを襲った犯人、タニシトビです。

水辺に生息するタカの仲間で、南米大陸に2種いることが知られています。

タニシトビ。これはまだ若い個体のようでした。成鳥は全身が黒っぽい羽で覆われます。
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タニシトビ。これはまだ若い個体のようでした。成長は全身が黒っぽい羽で覆われます。

主食は、Apple Snailと呼ばれる、これまた中南米に多く生息する水生のカタツムリ類。タニシトビは、こればかり食べている、きわめて偏食のタカなのです。

残念ながら、食べているところは見られませんでしたが、名を聞くばかりで実物を見たことのなかったこの鳥に出会えたことは、ブラジル遠征の忘れられない思い出になりました。

タニシトビの細く曲がった長いくちばし。これで主食であるApple Snailの中身をつつき出して食べます。ちなみに、日本で外来生物なっているスクミリンゴガイ、いわゆる「ジャンボタニシ」も、Apple Snailの一種です。
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タニシトビの細く曲がった長いくちばし。これで主食であるApple Snailの中身をつつき出して食べます。ちなみに、日本で外来生物なっているスクミリンゴガイ、いわゆる「ジャンボタニシ」も、Apple Snailの一種です。

それにしてもこの鳥、カタツムリばかり食べて生きるとは、面白い進化の道を選んだもの。

これは、多くの生きものの中から、特定の獲物だけを選んで食べていても、十分生きていけるだけの豊かさが存在するということなのでしょう。

思えば、私たちが森に仕掛けた調査用の自動カメラ(カメラトラップ)にも、同じ草食動物を獲物とするジャガーとピューマが、時間帯こそ違えど同じ場所で撮影されていました。やはり、獲物となる動物が十分にいる証です。

私たちが未来にのこしていきたいと願っている、アマゾンを抱く南米の自然。多くの生きものの共生を支えるその生物多様性の豊かさを、教えてもらった一日でした。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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