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いよいよ開幕!ワシントン条約第19回締約国会議(CoP19)


最近、連日ニュースなどで耳にするCoP。

CoPとは締約国会議(Conference of the Parties)のことで、
2022年はさまざまな条約の締約国会議が世界各地で開かれます。

中でも、野生生物の保全において非常に重要な「ワシントン条約」の第19回締約国会議(CoP19)が2022年11月14日から25日までパナマ共和国で執り行われます。

© Tanya Petersen / WWF

パナマ共和国は北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の中間に位置し、北はカリブ海に、南は太平洋に面しています。

ワシントン条約は正式名称を「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」といい、英語の頭文字をとりCITES(サイテス)とも呼ばれます。

そして、ワシントン条約のCoPでは、条約の規制対象となる動植物種を定める「附属書*」の改正審議や、運営事項や種の取引と保全に関する決議などが議論されます。

附属書は、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに分かれ、それぞれ異なる規制がされています。<br>附属書	規制の主な内容<br>附属書Ⅰ	商業目的の国際取引が禁止。<br>附属書Ⅱ	商業目的の取引は可能。ただし、その取引が種にとって有害でないことを輸出国が証明し、許可することが条件。<br>附属書Ⅲ	その動植物が生息する国が、保全のために国際的な協力を求めているもの
© Ola Jennersten / WWF-Sweden

CoP19において議論が予定されている絶滅危惧種のアフリカゾウ(Loxodonta africana) は、現在も個体数の減少が続いています。

さて、今回のCoP19では、日本と関りが深く、注目される種である「アフリカゾウ(象牙)」、「水産種(水棲生物)」、そして「ペット利用対象種」の議論も予定されています。

アフリカゾウの象牙取引に関しては、一部の生息国がより厳しい規制を設ける提案をする一方、他の生息国が取引拡大を求めるなど、議論の行方が注目されます。水産種では、日本でも漁獲や輸出実績のあるサメについて、規制を強化する提案が出されています。

また、附属書改正提案52のうち約半数を占めるのが「ペット利用対象種」です。

アジアで鳴鳥として取引される2種に加え、日本のペット市場でも販売が確認されている多くの爬虫類・両生類の附属書掲載や改正が議論される予定です。

© Meridith Kohut/WWF-US

独特の風貌から日本でもペットとして人気のある爬虫類のマタマタ(Chelus fimbriata)。過剰な取引が将来的な絶滅リスクを高める恐れがあるとして、CoP19で附属書Ⅱへの掲載が提案されています。

野生生物の未来を左右する、国際取引のあり方を決めるCoP19の議論は、日本をはじめ、各締約国の政策にも大きく影響を及ぼします。熱い議論にぜひ、注目してください。

私たちも議論の行方を追っていきます!(野生生物グループ 岡元)。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

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