生物多様性の保全と気候変動対策 世界の2つの「約束」の現在地
2024/12/17
今年10月~11月にかけて、環境に関連する重要な国際会議が2つありました。
1つ目はコロンビアのカリで開催された、生物多様性条約の第16回締約国会議(CBD-COP16)。もう1つはアゼルバイジャンのバクーで開催された、国連気候変動枠組み条約の第29回締約国会議(COP29)です。
私たちWWFも、両方に大きな代表団を送り込み、会場と交渉の内外でネットワーキングや対話を通し、影響を与えようとしました。しかし残念ながら、いずれも結果は残念なものとなりました。
詳報はWWFのウェブサイトをご覧いただくとして、実は両者の会議には共通点がありました。
それは「資金」の役割が主要論点の1つであったことです。CBD-COP16は、昆明・モントリオール生物多様性世界枠組みで合意された23の目標を実施していくために、特に途上国に対してどういう資源(資金)を回していくのか。COP29では、2035年に向けた削減目標を各国が来年に向け提出していく中、特に途上国に向けた資金をどのように提供していくのか。それが主要な議題となっていました。
この一致は偶然ではなく、両者がそれぞれ世界的目標とルールの「実施」段階に入り、「そのために必要な資金が本当に入ってくるのか」その確証を得る大事な局面を迎えたことを示しています。
結果は残念(COP16は「一時中断」、COP29は不十分な金額で合意)でしたが、2つの世界の約束は着実に「ルールメーキング」から次の「実施」フェーズに入りました。
そして、国際社会はその中で困難にぶち当たりながらも、懸命に協力を推し進めようとしています。
その大きな流れの中、森や海などの自然の現場を見る目を忘れないようにしつつ、国際規模で大きな影響力を発揮できる活動が、私たちにも求められ始めています。