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ネイチャー・ポジティブへのターニング・ポイントに!国連の生物多様性条約会議(COP16)への期待


国連の生物多様性条約第16回締約国会議(CBD-COP16)が、10月21日、コロンビアのカリで始まりました。

開会式には、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領、議長を務めるスサナ・ムハマド環境大臣らが出席。国連のグテーレス事務総長もビデオでメッセージを寄せられました。

この生物多様性条約に基づく「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」は、世界の生物多様性のこれ以上の減少を食い止めるため、2022年のCOP15で国際社会が合意した「国際目標」です。

この大事な目標を達成することは、破壊と消失が続く世界の生物多様性の回復を実現する上で、欠かせないステップです。

しかし、地球の自然環境に迫る危機は、その深刻さをさらに増しつつあります。

WWFはこの10月に発表した「生きている地球レポート2024」の中で、地球上の生物多様性の豊かさが、過去半世紀の間に73%も失われた現状を指摘。

さらには、この危機が「もはや後戻りできない地点(ティッピング・ポイント)」に近づいていることを、強く訴えました。

生物多様性を守るための国際目標は確かに合意されたものの、前回のCOP15からの2年間に世界がたどってきた、目標達成に向けた道のりは、残念ながら不十分だということです。

(WWF「生きている地球レポート2024」より)

(WWF「生きている地球レポート2024」より)

今回のCOP16は、このティッピング・ポイントを、生物多様性の回復、すなわちネイチャー・ポジティブに向けた、ターニング・ポイントに切り替えるための重要な機会です。

そして、GBF達成のための覚悟と、野心的なアクションの実施に向けた意思が、各国政府に問われています。

COP16の開催後、各国がそれぞれの国の国家戦略を、確実に生物多様性の保全・回復につながるよう改善し、実現に取り組めるように、私たちも世界のWWFの仲間と共に働きかけを行なっていきたいと思います。

今回のCOP16では、こうしたGBFの達成に向けた各国の貢献の評価や、生物多様性と気候変動、また人の健康や、先住民および地域社会の関与などが、注目の議題となっています。また、企業を含む民間部門の参画と関与も、大きく注目されています。

そして、ここでの議論と合意は、今後の日本での30by30を含む「ネイチャー・ポジティブ(自然の回復)」に関連した取り組みや、企業のサプライチェーンを通じた生物多様性への具体的対策の促進など、今後の日本の環境政策やビジネスの在り方にも、大きく影響を及ぼすものとなります。

その結果が、世界の生物多様性の危機を打開する、確実な一歩となるように、皆さまもぜひ、COP16のゆくえにご関心をお持ちいただければと思います。

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事務局長
東梅 貞義

国際基督教大学教養学部理学科卒業(生物専攻)。英国エジンバラ大学修士号(Master of Science)取得(自然資源管理専攻)
1992年WWFジャパンに入局以降、日本全国各地の重要湿地の保全活動に携わる。
2019年からはシニアダイレクターとして、WWFジャパンが手掛ける地球環境保全活動全般を統括。
2020年7月 WWFジャパン事務局長就任
座右の銘は、Together possible 「一緒なら達成できる」

自然保護に取り組み30年近く。これまでのフィールドは、日本では南は石垣島のサンゴ礁から、北海道の風蓮湖まで、世界ではペンギンの生きる南米の海から、渡り鳥の楽園の黄海、そしてミャンマー・タイの東南アジア最大級の手つかずの森まで。野生生物と人の暮らしが交差する現場で、現地の人々や研究者、グローバル企業、国際機関の方々とご一緒に、自然保護と持続可能な未来を目指して日々取り組んでいます。

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生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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