© Sergio Marijuan

世界ネコの日: やったぞ、イベリアオオヤマネコ !


今日、8月8日は世界ネコの日。
うれしいニュースをお届けします!

20年前に成獣の個体数がわずか52頭まで減少してしまった、イベリアオオヤマネコ(スペインオオヤマネコ) 。

最新の調査で、推定個体数が2,021頭まで回復したことがわかり、IUCNレッドリストでも絶滅危惧種(EN)から危急種(VU)へ、絶滅のおそれランクが下がりました!

すごいぞ、イベリアオオヤマネコ!

イベリアオオヤマネコ Lynx pardinus は、かつてヨーロッパのイベリア半島に広く分布していましたが、1940年代以降、生息環境の低木林の伐採や、ダム開発、道路交通網の広がりなどを受けて、その数を大幅に減らしました。
© WWF-Spain / Jesús Cobo

イベリアオオヤマネコ Lynx pardinus は、かつてヨーロッパのイベリア半島に広く分布していましたが、1940年代以降、生息環境の低木林の伐採や、ダム開発、道路交通網の広がりなどを受けて、その数を大幅に減らしました。

しかし、大幅な個体数増加が確認されたとはいえ、絶滅の危機に瀕していることは変わりません。

ロードキル(交通事故死)、違法なハンティング・密猟、主要な獲物であるアナウサギの激減など、イベリアオオヤマネコは、依然多くの脅威にさらされています。

地域によってはイベリアオオヤマネコの獲物の9割を占めるアナウサギ。感染症の流行により、10年間で個体数が70%も激減しました。保全活動においては、アナウサギの個体数回復も極めて重要です。
© Ola Jennersten / WWF-Sweden

地域によってはイベリアオオヤマネコの獲物の9割を占めるアナウサギ。感染症の流行により、10年間で個体数が70%も激減しました。保全活動においては、アナウサギの個体数回復も極めて重要です。

イベリアオオヤマネコ保全のエキスパートであるWWFスペインのラモン・ペレス・デ・アヤラ は、「分断された生息地を繋げることや密猟撲滅を政府や他のNGOと協力して進めて、イベリアオオヤマネコの総個体数3,000~3,500頭を目指します!」と力強く語っています。

Cachorro de Lince ibérico 2024 - Jorge Sierra

今年撮影された、イベリアオオヤマネコの幼獣。イベリアオオヤマネコの保全活動は、WWFスペインが1969年に発足した当時から開始し、継続してきた、まさにライフワークとも言うべき取り組みです。

一時は絶滅必至ともいわれたイベリアオオヤマネコですが、多くの人々の努力によって、ここまでの回復(まさにネイチャー・ポジティブ!)が実現しました。

私たちWWFジャパンも、現在保全活動に取り組んでいるユキヒョウやジャガーの未来に、こうした明るい兆しがもたらせるよう、頑張っていきたいと思います。

絶滅の淵から這い上がろうとしている、野生の動物たちと、その保全に携わる人々へ、世界ネコの日に熱いエールを送ってください。

【寄付のお願い】ユキヒョウの未来のために|野生動物アドプト制度 ユキヒョウ・スポンサーズ
【寄付のお願い】ジャガーの未来のために|野生動物アドプト制度 ジャガー・スポンサーズ

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、海外青年協力隊を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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