【開催報告】BEE2024 ファイナルプレゼン&ネットワーキング

この記事のポイント
環境問題を解決していくため、人々をまきこみ、社会に変革を起こせる次世代の人材を育成するため、WWFジャパンは2024年に「BEE(Base for Environmental Entrepreneurs)プログラム」を開始しました。2025年2月1日、その第一期の終了にあたり、このプログラムに挑んだメンバーの方々が手掛ける課題解決事業アイデアを振り返り、今後に向けた取り組みを発表するイベントを開催しました。
目次

環境問題の解決を導くリーダーの育成を目指すBEE

世界的な課題となっている、気候変動と生物多様性の喪失。
この解決に向け、2035年までのネイチャー・ポジティブの達成と、2050年までのカーボンニュートラルの実現が求められています。

そのカギとなるのは、さまざまなステークホルダーを巻き込み、社会に変革を起こせる、強い情熱を持った次世代の人材です。

そうした若手(18~35歳)の人材を支援し、育成するため、WWFジャパンは2024年、NPO法人ETIC.(エティック)、アクセンチュア株式会社と共同で、「BEE(Base for Environmental Entrepreneurs)プログラム」を開始。

参加者が実際に手掛けられている事業モデルを後押しする、実践型の活動を展開してきました。

© WWF-Japan

BEEプログラム第一期の活動が終了

2024年7月にスタートしたその第一期の募集には、486あまりの参加希望のエントリーがあり、最終的に14名が一期生のメンバー(採択者)として参加することになりました。

この参加者の皆さんは、それぞれの環境・社会課題に対する認識に基づき、それぞれ情熱と具体的な事業のアイデアを持ち、一部その実現に取り組まれている方々です。

BEEプログラムでは、この取り組みに対するメンタリングを行ない、その実現性や課題の解決に向けたサポートを実施。

特に、参加者は次の3つの機会を通じて、6カ月の期間にわたり、それぞれのアイデアの改善に取り組みました。

BEEプログラム 3つの特長

1:先駆者・専門家によるメンタリング
環境保全やソーシャルビジネスの第一線で活躍する先駆者がメンターとなりフィードバック。新たな気づきを得られる。

2:仲間との出会い・ネットワーク
熱量・行動量のある同志、高度な専門性を持つ実践家と交流する機会と場を提供。共に取り組む仲間を得られる。

3:インパクト最大化に向けた事業の磨き上げ
事業で何を実現するのか。化の理論・法則であるTheory of Change(ToC)を作成するための、WWFのノウハウを共有。コレクティブインパクトを実現する中長期戦略を練り上げる。

© WWF-Japan

「BEE2024 ファイナルプレゼン&ネットワーキング」の開催

2025年2月1日、BEEプログラムでは、その一年目の終了にあたり、第一期の参加メンバーが手掛ける事業モデルを振り返りながら、今後に向けた取り組みを発表するイベントを開催しました。

名称 BEE2024 ファイナルプレゼン&ネットワーキング
日時 2025年2月1日
場所 第一部:WWFジャパン事務局
第二部:アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京(いずれも東京都港区)
参加者 約100名
主催 WWF ジャパン
共催 NPO法人ETIC.、アクセンチュア株式会社

第一部:走り切って、棚下す

第一部では、非公開で、半年間メンバーと一緒に走ってくれたメンターの方々を交え、続く第二部での外部にむけた発表を前に、最後のメンタリングセッションを実施。

事業のアイデアをブラッシュアップしてきた中で、積み残した課題や疑問を棚下す、最後のディスカッションを行ないました。

検討と発表は、3つのゼミごとに行なわれ、最後はメンバーとメンターの全員から、ここまでの取り組みと今後に向けた思い、アドバイスをお話しいただきました。

「プラスチックをめぐるサーキュラーデザインと実装」ゼミ
「自然と調和した地域づくり」ゼミ
「サステナブルビジネスとイノベーション」ゼミ

©Greg Armfield/ WWF-Japan

それぞれの発表が終わった後、メンバーからは、

「BEEでの取り組みが事業の改善の大きなヒントになった」
「気持ちを同じくして取り組むメンバーとつながりをもてた」
「これから活動を続けていく、その覚悟ができた」
「3年後、5年後には、自分が今回お世話になったメンターになり、この場に戻ってきたい」

といったコメントがあり、次のステップへのつながりを期待させる、強い気持ちが示されました。

また、最後にはWWFより、第一期の終了後も、参加メンバーがつながりを持ち、互いにアドバイスや協力を続け、事業の継続・拡大を今後も図る場を形成する予定を発表しました。

© WWF-Japan

第二部:ぶつけて、つながる。

第二部では、一般の参加者をまじえ、各メンバーが取り組みの成果を発表。
冒頭、WWFよりBEEプログラムについての紹介を行なった後、総合地球環境学研究所所長でWWFジャパン理事でもある、山極 壽一先生より、社会性と共感に基づいた人のつながりをテーマに、これからの未来の在り方について考察とメッセージをいただきました。

続いて、ゼミごとにメンバーが、半年間のブラッシュアップを経たそれぞれの取り組みを発表。さらにオープンな場で、メンターや参加者からのコメント、メッセージをいただきました。

各メンバーによる発表のテーマは、地域から海外にいたる、食やプラスチックごみの現状、林業や漁業、農業、里山に関係する問題まで、環境分野を超えて多岐にわたりました。また、これらにかかわる政策提言、AI技術の活用、環境教育などの多様なアプローチも紹介され、会場に集まった参加者からはたくさんの拍手が送られました。

そして、メンター陣と山極先生からも、各発表に対し
「環境についての取り組みは、逆境からのスタートが基本。厳しい時がきっとある。
「応援してくれる人、そういう味方を増やしていくこと、伝えていくことが大事」
「やることと、やりたいことが、まだ曖昧な発表が多くみられた」
「正解は簡単に得られないけれど、環境問題をこれからも勉強し、活動を続けてほしい」
といった、最後のエール、アドバイス、厳しいご指摘が呈されました。

その後は、メンター、参加メンバー、イベント参加者による交流会を開催。人のつながりと、今後の取り組みの広がりに向け、関心や意識を共にする方々同志で、熱心な言葉を交わしました。

そして最後に、アクセンチュア、ETIC.、WWFジャパンより、イベント参加者の皆さんと、お世話になったメンターの皆さんへの感謝、そしてこれからの若い志を持つ皆さんと、その強いつながりに対する期待が述べられ、イベントは終了いたしました。

© WWF-Japan

今回のイベントにおいて、各メンバーの皆さんが、それぞれの半年間にわたる取り組みの成果をふまえつつ、発表の中で強く意識されていたところは、これがBEE第一期の「終わり」であると同時に、改善された各事業の本格的な「始まり」であること。

それは、今後の事業の改善・実現だけでなく、このBEEという場で生まれた人のつながりが切り開いていく、新しい未来の始まりでもあります。

WWFジャパンは今後も、自然環境との調和、そして気候変動の克服に向けて、多くの人たちとともに、ネイチャー・ポジティブとカーボンニュートラル実現のカギとなる、人材の育成を支援していきます。

© WWF-Japan

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