© Gerald S. Cubitt / WWF

泳ぐネコ


今日、8月8日は世界ネコの日。
海やプールが恋しくなる季節なので、ネコはネコでも泳ぎが得意なネコの話しです。

もしかするとトルコの泳ぐイエネコ、ターキッシュバンを思い浮かべた方もいるかもしれませんが、そうではありません。

今日の主役は、スナドリネコ。名前の通り、水辺や水中で魚を“漁る”珍しいネコです。

スナドリネコ Prionailurus viverrinusは、南アジア~東南アジアに生息します。イエネコよりひとまわり大きいサイズです。
© David Lawson / WWF-UK

スナドリネコ Prionailurus viverrinusは、南アジア~東南アジアに生息します。イエネコよりひとまわり大きいサイズです。

スナドリネコは前脚を熊手のように使って、主食の魚やエビ・カニなどの甲殻類を捕らえます。動物園では生きていないエサも与えられますが、わざわざ動かないエサを水に落として、それを捕獲する(?)姿も観察されているそうです。

ちょっと変わったスナドリネコは、足も特徴的です。ひとつ目はその爪です。我が家のネコらとは違い、スナドリネコはかぎ爪を完全に収納することはできません。つまり、いつも爪の先が出た状態。かぎ爪を引っ込めることができないのは、ネコ科動物では少数派です。

スナドリネコの足。指をパァっと開いた状態です。
© Ben Williams, Nature Encounters, UK

スナドリネコの足。指をパァっと開いた状態です。

ふたつ目は、水かき。カワウソなどのように指の間には水かきがあるのです。いかにも泳ぐネコという感じですね。

このようにとっても個性的で魅力的なスナドリネコですが、他の多くのネコ科動物と同様に絶滅のおそれが高まっています。原因は、生息地の縮小・劣化や分断、そして食用・毛皮用・ペット目的の捕獲や漁網を壊した報復の殺害などです。生息地がなくなる要因である気候変動や養殖のための開発など、日本との関わりは決して小さくありません。

ベンガルヤマネコPrionailurus bengalensisの幼獣。スナドリネコも日本の固有種であるツシマヤマネコ Prionailurus bengalensis euptilurusもベンガルヤマネコ属に属しています。
© Alain Compost / WWF

ベンガルヤマネコPrionailurus bengalensisの幼獣。スナドリネコも日本の固有種であるツシマヤマネコ Prionailurus bengalensis euptilurusもベンガルヤマネコ属に属しています。

世界ネコの日に、世界中のすべてのネコ科動物が、ずっとこの地球に住み続けられるよう、日本に住む自身の生活とのつながりを意識しつつ生息地での取り組みを進めていきたいと思います(野生生物グループ 若尾)。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、海外青年協力隊を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

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生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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