© Jonas Lysholdt Ejderskov / WWF-Denmark

響け、ブブゼラ! ゾウと人の未来のために


みなさん、ブブゼラをご存知でしょうか?

わたしは、2010年サッカーのワールドカップで初めて、この存在と共に「ブブゼラ」という言葉を知りました。

発祥は定かではないようですが、南アフリカで宗教的な目的で使用されていたところから広がったとか。
今では、南アフリカのサッカーの試合で応援に使われるのがお馴染みの光景なようです。

そんなブブゼラ、細いラッパのような形状で、1メートルほどの長さがあります。作りはいたってシンプルなものなのですが、ビックリするくらい大きな音が出ます。

そんなブブゼラ、実はアフリカゾウと人との軋轢(あつれき)回避のために活躍しているのです。

ゾウがこの大きな音を嫌がるため、人里でゾウを発見した際には、このブブゼラを鳴らすことで、ゾウは去っていき、住民との衝突を避けることができるのです。

この手法は、広く使われているようですが、WWFが活動しているタンザニアでも利用されています。

特に近年、移動ルートに変化が生じて、ケニアから移動してくるアフリカゾウが急増している、タンザニア北東部のムコマジ地域でも導入を開始しました。

日本のサポーターのみなさまからの支援によって調達したブブゼラも、先日現地視察に行った際に直接集落に届けて来ました!

タンザニア北東部タンガ州コログウェ地区にある集落。ブブゼラの他、照度の高いライトも寄贈。アフリカゾウが強い光を嫌がり去っていく。それぞれ使い方やタイミングを間違えてしまうとトラブルが生じるため、今後は住民向けレクチャーなど、地域の行政官と連携して実施していく。
© WWFジャパン

タンザニア北東部タンガ州コログウェ地区にある集落。ブブゼラの他、照度の高いライトも寄贈。アフリカゾウが強い光を嫌がり去っていく。それぞれ使い方やタイミングを間違えてしまうとトラブルが生じるため、今後は住民向けレクチャーなど、地域の行政官と連携して実施していく。

今後は、こうした器材を効果的に使用するために、住民のみなさんにレクチャーをしたり、まだまだ解決しなければならないアフリカゾウ保全における課題に向けて、引き続き活動を続けていきます。

【寄付のお願い】アフリカゾウの未来のために|野生動物アドプト制度 アフリカゾウ・スポンサーズ

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自然保護室(野生生物 グループ長)、TRAFFIC
西野 亮子

学士(芸術文化)
2009年よりTRAFFICにて広報分野を中心に従事し、イベント運営、出版物作成などワシントン条約に関する普及啓発に努める。2016年からは重点種(特に注力すべき種)プログラム推進に携わり、取引を中心とした現状調査を担当。2018年以降は、関係する行政機関や企業へ働きかけ、取り組み促進を促す活動に従事し、野生生物の違法取引(IWT)の撲滅、持続可能ではない野生生物取引削減を目指す。ワシントン条約第70回常設委員会参加。東京都象牙取引規制に関する有識者会議委員(2022年3月終了)

「野生生物を守る」ことを起点に、そこに暮らす人、その場所の環境、そして利用する側の意識、すべての段階で取り組みが必要です。生息地から市場まで、それらを繋ぐことが私の役割です。

人と自然が調和して
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