© Martin Harvey / WWF

水際の用心棒!?横浜税関研修でワシントン条約の講義


WWFジャパンの野生生物取引調査・監視部門TRAFFICでは毎年、税関の研修で、「ワシントン条約」について講義をさせていただいています。

今年も1月末に、実務経験のある中級職員14名の方々に向けて最新の動向や条約の改正点などをお話ししました。

© TRAFFIC

講義の様子。運用にかかわる説明や、野生生物の違法事例なども紹介。

ワシントン条約は、種(しゅ)の存続に懸念のある野生生物を過剰な国際取引から守り、持続可能な利用を推進することを目的として定められた国際的なルールです。

野生生物の乱獲や過剰な取引は、野生生物を絶滅に追い込む大きな原因となるため、条約ではそのような懸念のある取引を規制し、野生生物を保護しています。

しかし、このルールに違反して野生生物を密輸する例が今も散見される現状があります。

© Martin Harvey / WWF

日本のペット市場で人気のマツカサトカゲ。マツカサトカゲをオーストラリアから持ち出そうとした日本人が逮捕され、実刑判決が下された例も報告されています。

そして、この違法な国際取引を食い止めるのが税関職員の皆さんです。

税関は、日本に出入りする物品が「ルールを守っているか」というのをチェックして、安心安全な貿易を守る「水際の用心棒」ともいえます。

違法な物品を輸出入しようとする者はあの手この手を使って、税関をすり抜けようとします。

税関はそうした違法取引と闘う、とても大切な機関なのです。

日本税関 野生生物密輸防止啓発ポスター

講義では、ワシントン条約の基礎的な内容から、最新の輸出入動向や密輸の手口に至るまで、幅広くお話しいたしました。

講義途中には、実際にサンプル品に触れていただき、具体的なイメージを持っていただくこともできました。

多くの実務経験を積まれている中級職員の皆さんが、今回の講義を経て、より一層「水際の用心棒」としてご活躍されることを期待しています。
(野生生物担当 TRAFFIC:柴田)

© Juozas Cernius / WWF-UK

TRAFFICは税関にとどまらず、空輸や海運セクターなどの輸送セクターに対する啓発、情報提供等の活動も積極的に継続していきます。

この記事をシェアする

自然保護室(野生生物)
柴田 有理

法務博士。大学院卒業後は官公庁に勤務。法律等による取締りの実務に携わった後、2023年にWWFに入局。現在は違法な野生生物取引及び持続可能でない野生生物取引対策業務を担当。

プライベートでもWWF会員。たくさんの人が地球のことをポジティブに考えられる未来を目指して日々勉強中。気になる動物はアオウミガメとセンザンコウ。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP