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地域のチカラで日本の生物多様性を守る~この季節に考えたいこと~


今年も芽吹きの季節が巡ってきました。
さまざまな生きものたちも活動的になり、それを実際に目にしたり、触れたりする機会も増えてくるでしょう。

そんな生きものとの触れ合いは、自然や生きものを正しく理解する上で大切な機会です。

でも、かかわり方の度合いが過ぎて、生息地の自然を乱したり、たくさん捕獲・採集してしまうなどの行為は、生態系を脅かす問題につながります。

こうした問題を防ぐため、日本の地方自治体の中には、野生生物の保護条例を作り、希少な生物やその生息環境を守っている例が数多くあります。

例えば、福島県只見町。先日、条例と取り組みについて同町の方にお話を伺いました。同町では、野生生物の大量捕獲を規制するなど、野生生物の捕獲や採集の在り方や希少な野生動植物の保全について条例で定めています。
© WWFジャパン

例えば、福島県只見町。先日、条例と取り組みについて同町の方にお話を伺いました。同町では、野生生物の大量捕獲を規制するなど、野生生物の捕獲や採集の在り方や希少な野生動植物の保全について条例で定めています。

各地方自治体では、地域で大切にされている野生生物を、積極的に保全する取り組みを推進しています。

残念ながら日本の国内では、野生生物の過剰な捕獲や採集によって、希少な生きものが絶滅の縁に追いやられ、地域特有の自然が脅かされる問題が続いています。

これを解決するためには、それぞれの地域での保全に向けた取り組みが欠かせません。

その中で、地方自治体がそれぞれ野生生物の保全に取り組み、市民がこれに参加するなら、それは大きな力となり、さまざまな野生生物と生態系が形作る「生物多様性」を、未来に向けて守ることにもつながっていくでしょう。

生きものとかかわる機会も増えてくるこの季節。
皆さんがお住いの地元自治体では、どのような条例を定め、野生生物を守る取り組みを行なっているか? ぜひご関心をもって、調べてみてください。
(野生生物グループ担当:柴田)

【参考】
日本各地の希少野生生物の保護に関する条例の一覧
「希少野生生物の保護に関する条例 」
(一般財団法人地方自治研究機構のホームページ)

奄美大島に生息するアマミシリケンイモリ。環境省のレッドリストでは準絶滅危惧種(NT)、IUCNのレッドリストでは絶滅危機種の一つである危急種(VU)にも選定されています。成体の乱獲も一つの要因で減少が懸念されています。生息地の現場では、こうした生態系への配慮のない捕獲・採集を減らすための対策を模索しています。
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奄美大島に生息するアマミシリケンイモリ。環境省のレッドリストでは準絶滅危惧種(NT)、IUCNのレッドリストでは絶滅危機種の一つである危急種(VU)にも選定されています。成体の乱獲も一つの要因で減少が懸念されています。生息地の現場では、こうした生態系への配慮のない捕獲・採集を減らすための対策を模索しています。

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自然保護室(野生生物)
柴田 有理

法務博士。大学院卒業後は官公庁に勤務。法律等による取締りの実務に携わった後、2023年にWWFに入局。現在は違法な野生生物取引及び持続可能でない野生生物取引対策業務を担当。

プライベートでもWWF会員。たくさんの人が地球のことをポジティブに考えられる未来を目指して日々勉強中。気になる動物はアオウミガメとセンザンコウ。

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