サルの密輸事件発覚!ペット目的の密輸をなくすためにできること
2022/10/06
2022年10月6日、サルの密輸のニュースが飛び込んできました。
日本人の男が、サル21頭を段ボールおよびスーツケースに入れ、タイから飛行機で違法に日本に持ち込もうとし、逮捕されました。
これらのサルは、ショウガラゴ、アカテタマリン、コモンリスザル、ピグミーマーモセットで、いずれも「ワシントン条約」で輸入が規制されている動物です。
サルたちは身動きができない状態で運ばれ、日本の空港で発見されたときには、死亡している個体もいました。
近年、エキゾチックアニマルと呼ばれるイヌ、ネコ以外の動物がペットとして利用されていますが、その中には、サルやトカゲといった野生動物も含まれています。
しかし、野生動物のペット需要は、乱獲や密猟を引き起こしたり、今回の密輸のような違法取引を助長するリスクがあります。
さらに、野生動物の生態や習性に配慮した適切な飼育環境が整えられない、飼育放棄された個体が野外で外来生物になる、といったリスクをもたらす危険もあります。
今回、密輸の標的となったサル類は全て、国際取引の規制を通じて絶滅のおそれのある野生動植物を守る「ワシントン条約」の規制対象種でした。また、サル類は、人に重い病気をうつす可能性が高いため、日本の国内法でも輸入が禁止されています。
愛らしいペットは、ときに癒しを与えてくれます。
しかし、野生動物のペット利用の裏側には、違法取引の犠牲になり、絶滅の危機に晒されている動物が、少なからずいます。
そして、野生動物を「ペットとして欲しい」と求める声がある限り、こうした問題が続くことを忘れてはなりません。
「かわいいから飼う」のではなく、「かわいいから守る」。
社会でそうした声が高まっていくことを目指し、私たちは今、野生動物のペット利用の見直しを訴えるキャンペーン「飼育員さんだけが知ってるあのペットのウラのカオ」を実施しています。
飼育員さんだけが知ってるショウガラゴのウラのカオ
今回のような問題が繰り返されないように、ぜひ野生動物を守る取り組みの輪を、一緒に広げてください(野生生物グループ 浅川)。