© WWF / James Morgan

水際の要!野生生物の違法取引防止をサポート


WWFジャパンの野生生物取引調査・監視部門TRAFFICでは、2018年から毎年、初任者向けの税関研修で、ワシントン条約について講義をさせていただいています。

今年も実務に出られる前のフレッシュな職員約200名の方々に、ワシントン条約の仕組みや野生生物取引の動向についてお伝えしました。

講義では、違法または過剰な取引が起こる背景や生態系への影響、違法取引撲滅のための対策といった情報も提供。

税関の業務が地球環境・生物多様性の保全、さらには違法取引との闘いであることを認識いただくという点でも、この講義は重要な機会になっています。

野生生物を過度な取引から守る国際条約、ワシントン条約では、2023年6月現在、4万900種以上の動植物の国際取引が規制されています。

税関は、これに反する輸出入の監視を行なって野生生物の違法な流入や流出阻止の役割を担っています。

ワシントン条約の規制対象種の多くは国内取引規制が及ばないため、水際=税関での取り締まりが、特に違法輸入品の国内流通を防止する最終手段となっているのです。

2022 年 6月、成田国際空港にてコモンリスザル、アカテタマリン、ピグミーマーモセット、ショウガラゴ計21匹のサルの密輸が発覚。報道によると、荷物の民芸品の中に隠匿されていたのを税関職員が発見した。発見直後までにサルの約半数が死んでしまった。(写真の動物はコモンリスザル)
© Hugh M. Smith

2022 年 6月、成田国際空港にてコモンリスザル、アカテタマリン、ピグミーマーモセット、ショウガラゴ計21匹のサルの密輸が発覚。報道によると、荷物の民芸品の中に隠匿されていたのを税関職員が発見した。発見直後までにサルの約半数が死んでしまった。(写真の動物はコモンリスザル)

税関は、限られた時間で大量の荷物・貨物を精査し、違法な野生生物やその製品を取り締まるほか、薬物や武器の取り締まりといった国の安全を守る役割も担っています。非常に専門性・迅速性が求められる仕事です。

講義中は、職員の方々の真剣な眼差しが、とても印象に残りました。
この講義をきっかけに、違法な野生生物取引対策への関心がより高まり、水際の取り締まり強化につながることを期待しています。

また、これからも税関にとどまらず、空輸や海運などの輸送セクターに対する啓発、情報提供等の活動も積極的に継続していきます。
(野生生物担当 TRAFFIC:柴田)

この記事をシェアする

自然保護室(野生生物)
柴田 有理

法務博士。大学院卒業後は官公庁に勤務。法律等による取締りの実務に携わった後、2023年にWWFに入局。現在は違法な野生生物取引及び持続可能でない野生生物取引対策業務を担当。

プライベートでもWWF会員。たくさんの人が地球のことをポジティブに考えられる未来を目指して日々勉強中。気になる動物はアオウミガメとセンザンコウ。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP