トラの足跡が示すもの
2019/04/09
こんにちは。C&M室の渡邉です。
先月、タイのクイブリ国立公園を訪れました。
クイブリ国立公園は今年1月に、約9年ぶりにインドシナトラの存在が確認されるまで、トラはもういないのでは、と思われていた場所です。
今回私たちがクイブリ国立公園を訪れた理由の一つは、なんと!トラの足跡が見つかったという嬉しいニュースが舞い込んだからです!
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クイブリ国立公園は、バンコクから約280km南西に位置し、ミャンマーの国立公園と隣り合っています。
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インドシナトラは、メコン川流域の森に生息します。20世紀終わりごろの推定個体数は1400頭でしたが、現状ではたったの200頭まで減少。原因は、森の消失や密猟です。(足跡を残したトラとは異なるトラです)
バンコクから車で約5時間。
ドキドキしながら、一般の人は入れない森の道を静かに歩きます。
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気温と湿度が高いため、歩いていると比較的涼しい森の中でも汗ばんできます。草をかき分けながら、必死にレンジャーの後ろに続きます。
すると…!
くっきりとした足跡が一つ、泥の上に残されていました。
まぎれもない、トラの足跡です!
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ぬかるんだ泥の上を通った際についた足跡がそのまま乾燥し、くっきり残っていました。直径はおおよそボールペンの長さと同程度。お手持ちのボールペンで大きさを体感してみてください!
たった一つの足跡に、そんな大げさな!と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、この足跡により、クイブリ国立公園でのインドシナトラの行動が確認できたこと。トラが国境を接しているミャンマー側の森と行き来している可能性が高いこと。そしてこの場所が、インドシナトラを保全する上で、とても重要であることが改めて確かめられたのです。
クイブリ国立公園で20年勤務しているWWFタイのスタッフも、この足跡の発見は今まで働いてきた中で一番エキサイティングだ!と興奮気味でした。
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WWFタイとWWFジャパンのスタッフたち
私が足跡を前にして感じたのは、インドシナトラが存在することへの喜びだけではありません。
パトロールや調査に取り組む国立公園のレンジャーや、一緒に活動を行なっているWWFタイのスタッフの頑張りと、日本の地からサポートしてくださっている、WWFジャパンのサポーターの皆さまのご支援が、繋がり合った成果であることを、改めて感じました。
この森とトラを保全する活動は、まだまだ始まったばかりです。
引き続き、活動への注目とご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。