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【アーカイブ録画あり】「スクール・パリ協定プラス2023」~脱炭素に関するシリーズ勉強会~ 「グリーンウオッシュ(見せかけの環境配慮)と言われないためには?」 ~VCMIの発表した新コードとSBTiの考え方~

この記事のポイント
世界では、企業の脱炭素行動をグリーンウオッシュ(見せかけの環境配慮)とする批判の急増を背景に、規制が強化されています。特にネットゼロ目標を達成する方策として、カーボンクレジットを使ったオフセットには厳しい目が向けられています。国際的な指針が求められるなか、2023年3月にICVCM※3が、7月にVCMI※1が新しい評価軸を発表しました。グリーンウオッシュと批判されないために、企業が知っておきたいネットゼロのグローバルスタンダードの最前情報を解説するセミナーを開催し、400名を超える方々にご視聴いただきました。その概要と資料をご報告いたします。
目次

プログラムと各スピーカーの講演資料はこちら

1)解説 VCMI、新Claims Code of Practiceの成り立ち
WWFジャパン 小西雅子
講演資料リンク

2)解説 SBTiの考え方と最新のガイダンス作りから
WWF スイス Lene Petersen Senior Manager Climate and Business Markets
講演資料リンク

3)対談 VCMIとSBTiの理解促進 Lene Petersen+小西雅子

日本語版

※冒頭3分40秒ほど英語音声になっておりますが、それ以降は日本語音声でご視聴いただけます。

英語版

脱炭素の取り組みの一環として、温室効果ガスの排出をカーボンクレジットでオフセットすることに関心が集まっていますが、グリーンウオッシュ(見せかけの環境配慮)と指摘される可能性も国内外で高まっています。どのようにすれば真の脱炭素行動と認められるのか、国際的な指針が求められる中、国際的な民間認証組織であるVCMI (Voluntary Carbon Market Integrity Initiative※1が、クレジットの需要側に対する新コード「Claims Code of Practice」を2023年7月に発表しました。

このVCMIの新コードでは、まず企業自身がパリ協定の1.5度に沿った削減行動をとっていることが前提となっています。その例としてSBTi※2に沿った行動が求められています。

せっかく脱炭素の取り組みをしながら、グリーンウオッシュと批判されたらやるせません。ぜひ知っておきたい国際認証のVCMIの新コードを日本語で解説した後に、その前提行動となっているSBTiの考え方と最新情報をSBTiのガイダンス作りの委員であるWWFスイスのレネ・ピーターセン氏を招いてお伝えしました。
※1 VCMI:民間クレジットを使った脱炭素に関する主張の国際認証組織。英政府などが出資。
※2 SBTi: 国連・WRI・CDP・WWFによる科学に基づく脱炭素目標を設定する国際イニシアティブ
※3 ICVCM:民間クレジットで高品質と認められるクレジットの要件を評価する国際認証組織。

1) 解説 VCMI、新Claims Code of Practiceの成り立ち

WWFジャパン 小西雅子

企業の脱炭素行動は、宣言から内容の時代に移行しようとしています。どうすればグリーンウオッシュという批判を回避できるのか。2023年7月にVCMI(自主的炭素市場イニシアティブ)が発表した、ネットゼロを主張する企業のガイダンスとなる「実施のクレームコード」を解説しました。企業のネットゼロ達成は、1.5℃目標に整合した科学に基づき、バリューチェーン内の削減を優先することが求められています。またクレジットを使いたい場合には、高品質クレジットでなければなりませんが、何をもって高品質とみなされるのか、クレジット供給側の指針としてICVCMが発表した要件も解説しました。

講演資料リンク

2) 解説 SBTiの考え方と最新のガイダンス作りから

WWFスイス Lene Petersen, Senior Manager Climate and Business Markets

VCMIが発表した「実施のクレームコード」は、科学に基づく脱炭素目標を設定する国際イニシアティブ、SBTiと連動しています。そのSBTiでは、企業のネットゼロ目標の達成手段として、カーボンクレジットによるオフセットは認めていません。オフセットは認められるのは、バリューチェーン外の脱炭素化を実現するために、高品質クレジットに限った補完的な利用に限定されています。

講演資料リンク

対談 VCMI と SBTi の理解促進 Lene Petersen+小西雅子

欧州では、ネットゼロ宣言が増加するにつれて、グリーンウオッシュへの批判が急増し、訴訟も増加しています。これを受けて、欧州委員会が「グリーンクレーム指令案」を策定するなど、規制が強化されようとしています。そのため、気候変動対策は経営陣が取り組むべきガバナンス上の課題になりました。さらに、企業はバリューチェーン内の削減はもちろん、バリューチェーンを超えた世界の脱炭素化への貢献も求められるようになっています。

開催概要

日時:2023年8月24日(水) 13:30 ~ 15:00
場所:Zoom オンラインウェビナー
対象者:ご関心のある一般の方々
参加費:無料
参加者数:403名

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