© WWF-Japan / Sayaka Shimomoto

温暖な冬に温暖化対策を考える


早くも立春からひと月近く経ちました。

今年の東京の冬は昨年までよりも暖かかったように感じています。例年アームウォーマーやレッグウォーマーを欠かせず、ハンドクリームを頻繁に塗り、寝るときは手袋が必須だったのに、今年の冬はいずれもさぼっても平気だったのです。楽だった反面、お気に入りのもこもこセーターの出番がなく寂しい冬でした。冬の寒さが緩くなっていることに危機感を覚えます。

実際、この1月は過去一番の暖かさだったという観測結果も報じられました。

温暖化により空気中の水蒸気量が増えることで、雪の降る地域では豪雪になりやすいという研究もあります。(イメージ写真)
© Ola Jennersten / WWF-Sweden

温暖化により空気中の水蒸気量が増えることで、雪の降る地域では豪雪になりやすいという研究もあります。(イメージ写真)

折しも日本政府は、新たな温暖化対策の計画を立て、温室効果ガスの削減目標を国連に提出したところです。その内容は2035年に2013年の排出量の60%を削減するというもの。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えるために必要と示した2035年目標は、世界平均で2019年比60%削減です。日本の目標は2019年比に換算すると53%で、先進国では世界平均よりも深掘りするべきところ、ほど遠いのは非常に残念です。

2024年末にこの新しい目標案が公表されてから、WWFジャパンとして抗議する声明を出し、パブリックコメントにも意見を提出しました。私も個人として意見を提出しました。しかし、目標を深掘りするべきという多くの意見をよそに、政府は修正しないまま目標を国連気候変動枠組条約事務局に提出しました。

新たな目標を決定した一連の審議会の模様は、委員として参加したWWFジャパンの小西雅子が、NIKKEI GXに寄稿しています。委員が声を上げたことで審議のやり方に変化があった今回の議論。結果として削減目標に変更はありませんでしたが、声を上げることで変わることに勇気をもらえます。私も政策を動かす方に参加していきたいと思います。

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自然保護室(気候・エネルギーグループ)
下元 清香

小学生の頃、図書館で地球環境問題の大きな本を手に取り、人口爆発の絵にショックを受けて以来、環境問題に細々と関心を持ち続けてきました。難しくなりがちな気候変動とエネルギーの問題を、多くの人にわかりやすく伝えたいと思っています。

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