再エネの大規模電源:洋上風力の魅力! 丸紅訪問記[前編]
2025/02/06
再エネに出遅れた日本では、まだ再エネと言えばコストが高い、と思っている方が多いかもしれませんが、再エネ先進国では、すでに再エネは、火力発電よりも最も安い電源となってきています。中でも風力は、大きな風車が開発されるにつれ、さらに大量の電気を作り出すことができるようになり、kWh当たりの発電コストは低くなっています。特に海の上に建てる洋上風力は大容量で発電ができ、スケールメリットによってコストを下げることが可能で、有力な脱炭素電源として期待されます!
ところが日本では、欧州に比べて風が風力発電に向いていない、台風や雷が多くて向かない、などの声も聞かれるため、秋田沖で早くから洋上風力に取り組んでこられたパイオニアの丸紅さんを訪ねて、現地を視察してきました。実際の事業をになうのは、地元企業7社を含む13社が参画する秋田洋上風力発電株式会社。国内初の商業プロジェクトとして全国から注目を集めています!
訪れた日も風が強く、高台から海を見渡すと、多くの風車が海上に立ち並んで回っている様は圧巻でした。さすがに日本でも有数の風力発電の適地である秋田沖!安定して秒速7~8メートルの風が吹いているそうです。ちなみに風況のよい欧州の適地では、平均風速はおよそ9~10メートルということなので、日本では少し劣りますが、平均風速から年間発電量を割り出すと、発電コストがやや高くなってしまうというだけのこと。決して日本の風況が向いていないわけではありません。
また日本海側なので冬には雷が多く発生し、台風も襲来します。落雷に対しては、レセプターで受け取って下に逃がすようにはしているものの、どうしても羽の途中に直接落ちるケースもあるそうです。その場合には補修したり、羽を一本変えることも。ちなみに欧州でも羽が破損してブレードを交換することは結構あるそうです。
台風に関しては、もともと工事ができない期間を想定して工程を作って対応されているそうです。こういった日本に固有の気象事情はありますが、「課題はあるものの、きちんと対応すればできる話」と秋田洋上風力発電社の井上聡一社長は力強くおっしゃっていました。「あとはお金をどうかけずにやるかという経済性のバランスで、現在日本では、その経験値を蓄積しているタイミング」と語られ、なるほどと納得しました!
なお、現場の秋田港湾には火力発電所も立ち並んでいました。実はそれらは順次閉鎖されているそうで、代わりに洋上風力が次々と姿を現しているのです。過去と未来の交錯の風景!と思ったら、元々火力発電所があったからこそ港が整備されており、そこに巨大な風車の建設に耐える“地耐力”を整えるだけで済んだとのこと。さらには火力発電所のために送電線も備わっていて、洋上風力にはうってつけの適地であるわけです。まさに「過去を活かして未来を建設していく再エネ」の現場でした!!!
詳しくは、視察記をご覧下さい。
https://www.wwf.or.jp/activities/data/20241002climate01.pdf
※この記事は、日報ビジネス株式会社のご許可を受けて「隔月刊 地球温暖化」から転載しています。
(気候・エネルギーグループ 小西)