ユキヒョウと家畜。どちらも守るべき存在に。
2024/11/15
ユキヒョウの生息地、西ヒマラヤのラダック。
今、この地ではユキヒョウが絶滅の危機にあります。
特に、大きな問題となっているのは、ヒツジやヤギなどの家畜の過放牧です。
放牧地の拡大などによって、ユキヒョウの獲物となる草食動物が減少。さらに、ユキヒョウが家畜を襲い、害獣として駆除される、という問題も起こっています。
ユキヒョウや基本的に夜行性。
夜間、ヒツジやヤギが休んでいる間に襲います。
つまり、家畜を守るためには、家畜を囲う柵を強化し、ユキヒョウの進入を防ぐことがカギとなります。
そこで、WWFは、家畜の被害を防ぐ対策のひとつとして、ユキヒョウなどの肉食動物を防除するよう強化した「コラル(家畜囲い)」の設置を支援しています。今回、私が視察したこのコラルは、ユキヒョウの習性に対応した設計がされていました。
強化されたコラルを使用している住民からは、「このコラルを使うようになってから家畜は襲われていない。さらに、夜間の見回りなどの負担もなくなり、安心して休めるようになった」という話が聞けました。
また、コミュニティのリーダーからは「ユキヒョウやオオカミに対して怒りや憎しみが薄れ、守るべき存在だと思う気持ちが増した」という嬉しい言葉もありました。
野生動物の保全には、地域住民の理解と協力が欠かせません。
住民の中でユキヒョウへの保全への意識が高まったことは、今後の活動を継続するうえでも大きな意味を持ちます。
また、こうした気持ちの変化をもたらすためには、現地のスタッフの根気強い対話や働きかけ、問題を解決に導く対応があったことを忘れてはなりません。
私たちはこれからも、現地のスタッフと協力して、保全に取り組む仲間を増やし、その輪を広げていきます。