IUCNが沖縄・奄美諸島の世界自然遺産への登録を勧告
2021/05/18
先日、ユネスコの諮問機関であるIUCN(国際自然保護連合)が、日本の南西諸島の一部を、「世界自然遺産」の登録地とするよう求める勧告を発表しました。
登録の対象は、奄美大島と徳之島、沖縄島北部、そして西表島の計4万2,000ヘクタールあまりです。
2017年に日本政府が、遺産登録を求める最初の推薦書を提出した時は、IUCNの現地視察で、自然環境の保全について課題が指摘され、「延期」に。
今回は、2019年の再推薦を受け「登録」が勧告され、7月のユネスコ世界遺産委員会で正式決定される見込みとなりました。
世界自然遺産となることで、観光資源としての価値が高まることへの期待も大きいようです。
しかし、登録には一方で、多くの観光客が押し寄せ、自然や地域の暮らしが壊され、野生生物が姿を消す、といったリスクが伴いますし、遺産としての価値を維持していくことにも、努力を傾けていかねばなりません。
自然に配慮した持続可能な観光を実現するため、2017年の「延期」以降、奄美大島をはじめ、各地の島々では、自然に配慮したツアーガイドの配置やトレーニング、地域への普及活動などが行なわれ、私たちもこれを支援してきましたが、本当に登録後も、この自然や野生生物を守っていけるのか。
それは、これからの取り組みにかかっています。
世界自然遺産への登録は、私たち日本人が、価値ある自然を守り、未来に引き継いでいく、その重い責任を、世界から託されたことを意味するものです。
沖縄、奄美の自然を守り、ここまでの道のりに尽力されてきた方々に、心からの敬意を表しつつ、登録が真に意味あるものとなるように、私たちも活動を続けてゆきたいと思います。
ヤンバルクイナ、アマミノクロウサギ、イシカワガエル、いずれも、世界に誇れる生物多様性の宝庫、南西諸島の「固有種」。つまり、世界で沖縄や奄美の島々にしか生息していない、希少な野生動物たちです。