©︎WWF / Martina Lippuner

2021年の3月3日「世界野生生物の日」に思うこと


本日、3月3日は、「世界野生生物の日」!
野生生物の保全を、世界の人々が一緒に考える日です。

野生生物の保全に取り組む私たちWWFジャパンとしては、この日は毎年、気持ちを新たにする一日なのですが、去年からはちょっと思うところが変わってきました。

きっかけは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。

私たちはこれまでにも、海外の珍しい野生生物をペットとして利用することについて、さまざまな問題を指摘してきました。

飼っていた動物を逃がしてしまえば、外来生物になるかもしれない。

人気が高まれば需要も増えて、密猟や密輸が増えるかもしれない。

日本でもペットとして人気が出たため密輸が相次いだコツメカワウソ。そうした背景を受け、2019年にワシントンン条約により規制が強化され、現在は国際取引が禁止となっています。
©︎David Lawson / WWF-UK

日本でもペットとして人気が出たため密輸が相次いだコツメカワウソ。そうした背景を受け、2019年にワシントンン条約により規制が強化され、現在は国際取引が禁止となっています。

動物が保有する病原体が原因で発生する感染症のような病気。これもその一つです。

しかし、そうした警告を発していたにもかかわらず、同じく動物由来感染症である新型コロナウイルス感染症が、世界を席巻し、深刻な影響を及ぼす事態は、想像できていませんでした。

野生生物や自然環境を守ることが、人間自身の健康や、安定した社会にとって、いかに大切な取り組みであるか。これほど深く思い直す機会は、無かったかもしれません。

日本国内では今も、珍しい野生動物のペット「エキゾチックペット」が、十分な規制もないまま、取引されています。

日本のペットフェア(展示即売会)で販売されるピグミーマーモセット(左)とフクロウ(右)。その他にも、様々な種類の動物が販売されています。
©︎TRAFFIC

日本のペットフェア(展示即売会)で販売されるピグミーマーモセット(左)とフクロウ(右)。その他にも、様々な種類の動物が販売されています。

そして多くの人が、そうした野生生物取引が抱えるリスクについて、認識していません。

私たちは今年3月3日の「世界野生生物の日」に、そうした日本社会の意識の実態を明らかにした、アンケート調査の結果を発表しました。

報告書『エキゾチックペットに関する日本の意識調査 2021』

報告書『エキゾチックペットに関する日本の意識調査 2021』

人と自然、野生生物とのかかわり方を見直し、次の感染症のパンデミックを防ぐ、そのための取り組みの一つとして。

皆さまにもぜひ、ご注目いただき、ご一緒に考えていただければと思います。

地球への処方箋 コロナ禍を越えて、地球の健康を取り戻すために。ぜひご支援ください!

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自然保護室(野生生物 グループ長)、TRAFFIC
西野 亮子

学士(芸術文化)
2009年よりTRAFFICにて広報分野を中心に従事し、イベント運営、出版物作成などワシントン条約に関する普及啓発に努める。2016年からは重点種(特に注力すべき種)プログラム推進に携わり、取引を中心とした現状調査を担当。2018年以降は、関係する行政機関や企業へ働きかけ、取り組み促進を促す活動に従事し、野生生物の違法取引(IWT)の撲滅、持続可能ではない野生生物取引削減を目指す。ワシントン条約第70回常設委員会参加。東京都象牙取引規制に関する有識者会議委員(2022年3月終了)

「野生生物を守る」ことを起点に、そこに暮らす人、その場所の環境、そして利用する側の意識、すべての段階で取り組みが必要です。生息地から市場まで、それらを繋ぐことが私の役割です。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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