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注目される環境と「ワンヘルス」 UNEPが専門家会議に参画


世界な影響を及ぼし続ける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。

その深刻な危機を前に今、人間、動物、生態系それぞれの健康を、一つのものとする「ワンヘルス」という考え方が注目されています。

そもそも、COVID-19のような動物由来感染症は、病原体を持つ野生動物から、人へと感染を広げてきました。

そうした野生動物と人が接触する機会が増えた理由は、世界各地で続く自然破壊と生態系の劣化が続いてきたため。

つまり、人間、動物、生態系の健康は、密接に関係している、ということです。

しかし、これまで「ワンヘルス」の中心は、人と動物(主に家畜)が中心。環境や生態系には、脚光が当てられてきませんでした。

そうした中、11月12日「ワンヘルス」に関するハイレベル専門家会合(One Health High-Level Expert Council)が発足。

ここに2010年以降、ワンヘルスの活動を担ってきたWHO(世界保健機関)、FAO(国連食糧農業機関)、OIE(国際獣疫事務局)に加え、UNEP(国連環境計画)が参画することになりました。

従来の3機関が専門とする「人」と「動物」に加え、「環境」すなわち生態系の健康を守る視点が強化されることになったのです。

COVID-19のような問題で対応が必要とされる分野は、今や医療だけにとどまりません。

これからはより、国際的な協力のもと、異なる分野の取り組みと経験、科学的な知見を、一つにしてゆくことが求められます。

「ワンヘルス」は今後のコロナ禍からの回復の中で、新たな感染症予防のカギとして、大きく注目されることになるでしょう。

自然を、野生生物を守ることは、人の健康を守ること。

日本でもこの「ワンヘルス」を政策の方針に取り入れ、省庁間の壁を越えた取り組みのアイデアを出していくことが求められています。

SARSやエボラウイルス病など、21世紀以降相次ぐ感染症の発生は、世界各地の自然破壊、すなわち「環境(生態系)の健康」の悪化により生じています。日本も、こうした世界の自然破壊の現状とは、無関係ではありません。

SARSやエボラウイルス病など、21世紀以降相次ぐ感染症の発生は、世界各地の自然破壊、すなわち「環境(生態系)の健康」の悪化により生じています。日本も、こうした世界の自然破壊の現状とは、無関係ではありません。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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