注目される環境と「ワンヘルス」 UNEPが専門家会議に参画
2020/12/15
世界な影響を及ぼし続ける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。
その深刻な危機を前に今、人間、動物、生態系それぞれの健康を、一つのものとする「ワンヘルス」という考え方が注目されています。
そもそも、COVID-19のような動物由来感染症は、病原体を持つ野生動物から、人へと感染を広げてきました。
そうした野生動物と人が接触する機会が増えた理由は、世界各地で続く自然破壊と生態系の劣化が続いてきたため。
つまり、人間、動物、生態系の健康は、密接に関係している、ということです。
しかし、これまで「ワンヘルス」の中心は、人と動物(主に家畜)が中心。環境や生態系には、脚光が当てられてきませんでした。
そうした中、11月12日「ワンヘルス」に関するハイレベル専門家会合(One Health High-Level Expert Council)が発足。
ここに2010年以降、ワンヘルスの活動を担ってきたWHO(世界保健機関)、FAO(国連食糧農業機関)、OIE(国際獣疫事務局)に加え、UNEP(国連環境計画)が参画することになりました。
従来の3機関が専門とする「人」と「動物」に加え、「環境」すなわち生態系の健康を守る視点が強化されることになったのです。
COVID-19のような問題で対応が必要とされる分野は、今や医療だけにとどまりません。
これからはより、国際的な協力のもと、異なる分野の取り組みと経験、科学的な知見を、一つにしてゆくことが求められます。
「ワンヘルス」は今後のコロナ禍からの回復の中で、新たな感染症予防のカギとして、大きく注目されることになるでしょう。
自然を、野生生物を守ることは、人の健康を守ること。
日本でもこの「ワンヘルス」を政策の方針に取り入れ、省庁間の壁を越えた取り組みのアイデアを出していくことが求められています。