国会で示された希少種の密猟密輸対策への意気込み
2020/03/12
沖縄では「うりずん」とよばれる季節を迎えた南西諸島。
そこに生きる野生生物に、一筋の春光をもたらす質疑が国会で行なわれました。
3月10日の衆議院・環境委員会で、日本が世界自然遺産登録を目指している南西諸島に生息する希少種の密猟・密輸問題に対し、国が、次年度予算の拡充と、具体的な施策の実施を表明したのです。
対象となる島は、奄美大島・徳之島・沖縄島北部・西表島。堀越啓仁議員の質問に対する環境省の回答でした。
施策には、現地のさまざまな主体が参加する、密猟密輸対策連絡会議の次回開催の早期実現や、密猟パトロールの継続、希少種の島外への持ち出し監視強化などが含まれます。
またこの答申では環境省から、南西諸島固有のトカゲモドキ属とイボイモリのワシントン条約付属書Ⅲへの掲載について、実現に向け調整中との報告もありました。
これらの爬虫類は、環境省のレッドリストで絶滅危惧種とされ、密猟の影響を受けていますが、現状では国際取引の規制が不十分な状況にあります。
このため、WWFでは付属書Ⅲへの掲載を求めてきました。
私も現地の観察会でトカゲモドキに出会ったことがありますが、暗い森の中で鮮やかで複雑な体の文様がうごめく姿がとても魅惑的で、南西諸島の生物多様性の豊かさを象徴する種の一つだと感じました。
日本が誇る南西諸島の貴重な生態系をまもる取り組みにおいて、国会の場で、国の積極的な姿勢が示されたことは大きな前進といえます。
現地で密猟密輸対策に取り組む皆さんと協力して、希少種をまもる活動を、試行錯誤しながら進めていきたいと思います。