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コツメカワウソなどの国内取引規制が開始!


みなさんは、ペットとして販売される動物に付けられる「登録票」を知っていますか?
これは、日本の法律、「種の保存法」で保護された動物の販売や譲渡の際に必要とされる環境省の「許可書」のようなものです。

そして本日2019年11月26日から、コツメカワウソやインドホシガメの販売や譲渡に、この「登録票」の貼付が必要となります。販売のための陳列や譲渡しの際は、必ず個体と「登録票」がセットで行われることが求められます。

日本での人気の高いインドホシガメ。日本は1983年以降、40,000頭を超えるインドホシガメを輸入している。
©David Lawson /WWF-UK

日本での人気の高いインドホシガメ。日本は1983年以降、40,000頭を超えるインドホシガメを輸入している。

このルールは、8月に開催されたワシントン条約第18回締約国会議のコツメカワウソなどを含む16種の「国際取引禁止」の決定を受けたものです。
この16種は、今後、「種の保存法」の保護対象種に指定されるため、日本国内でも原則取引禁止。
しかし、「11月26日より前に日本に輸入された」、又は、「国内で繁殖された」と環境省が認めた個体については、例外的に取引が可能となり、その個体には「登録票」が付与されるのです。

日本は、これまでにコツメカワウソやインドホシガメ、パンケーキリクガメなど数多く輸入してきました。そのため、11月26日以降、かなりの数の個体が登録申請され、登録票が付与されることが予想されます。

展示即売会で販売されるトカゲやヘビ。
© TRAFFIC

展示即売会で販売されるトカゲやヘビ。

「登録票」は販売可能という環境省のお墨付きですが、一方で、その動物種が、取引規制がされる危機的状況に至るまで、捕獲、利用され続けてきたことを示します。
「登録票」が貼付され、販売される個体が多ければ、多いほど、それは日本がたくさんの個体を輸入し、種の絶滅に寄与してきたことを意味するのです。

登録票が付与される動物が増えないようにするためには、規制に加え、不用意にペットとして求める意識の改革も必要ではないでしょうか。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
浅川 陽子

学士(法学)
大学卒業後は官公庁に勤務。JICAの青年海外協力隊としてインドネシアの国立公園で環境教育とコミュニティ開発に携わった後、2018年にWWFに入局。
ペットプロジェクトでは、規制強化を担当し、2021年からは消費者の意識変容に向けた取り組みにも着手。

動物好きな消費者が、野生動物を絶滅の危機にさらしてしまわないよう、あるべき野生動物との付き合い方、社会のルールとは何か、を日々勉強中。

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